檜原村の都民の森

行ってきました檜原村。

昔、「音の探検隊!」の企画で払沢の滝あたりまでは行ったのですが、今回はさらに奥地。
檜原都民の森」は山梨県との県境ギリギリ、奥多摩湖の南あたりに位置しています。

武蔵五日市駅から檜原街道を進んでいくと、もうあたりは樹木でいっぱい!

…なのですが、そのほとんどはスギ・ヒノキ林
自然がいっぱいに見えて、実際はある意味不自然がいっぱい

この時期、花粉症に悩まされている方は、その機会にぜひ、なぜこんなにもスギ・ヒノキ林だらけになってしまったのか関心をもってほしいものです。


檜原都民の森、到着直後。


さっそく見られるブナ
もちろんこの地点で標高1000mくらいなので、ブナが生えていることは何も不思議ではありません。
クヌギやヤマコウバシのように、ブナも春まで多くの葉が残ります。


本来はなめらかで地味なブナの樹皮ですが、コケや地衣類によって不思議な模様が生まれます。


側脈の先が鋸歯のへこみ部分に到達するという不思議な形状の葉。
イヌブナも同様なんですが、独特です。

しかし、ブナが見られるだけでなんだかうれしくなってしまう!


都民の森駐車場からすぐにたどりつく「森林館」。
動植物に関する展示も充実していて、情報が集まります。ごはんも食べられます。



しばらく山を登って行くと見られるワサビ田
奥多摩のワサビはおいしいよ!


今回、姿も鳴き声も楽しめたのはミソサザイ


10cmくらいしかない小さな体でちょこまかと動き回ります。

そのさえずりの美しいこと
このサイズからは信じられない声量の歌声が、山に響いていました
この時期に来て良かった!(さえずりの録音もバッチリ。)


見晴し小屋(標高約1400m)付近のブナ。
これも模様が美しい!


こんなふうに、針葉樹の中に見つかるブナも。まだ残る葉が暗い林に彩りを添えます。


「野鳥観察小屋」もあり。


ゆっくり休める小屋の中に覗き窓があり、ここから野鳥観察ができるようになっていました。


こちらが三頭大滝
三頭大滝は三頭山を源流とする南秋川の中で最大の滝。
秋川は最終的に昭島市付近で多摩川に合流します。一級水系ですね。
合流地点が羽村より下流ということで、残念ながら(?)この水は玉川上水には流れません。

  
比較的、広葉樹林や混交林が多い都民の森でも、やはりスギ・ヒノキが植林されたエリアが多く見つかります。
しかし、この滝の周辺、三頭沢は落葉広葉樹の多い私好みの林になっています。
ブナはもちろん、サワグルミ、サワシバ、ミズナラ、オヒョウ、ホオノキ、カツラ、トチノキなどなど。その他にカエデ類も豊富。

新緑の時期にまた訪れたらかなり美しい光景が待っていることでしょう!
また行きたいな。

玉川上水 3月の野鳥メモ

玉川上水野鳥カレンダーはこちら。

玉川上水野鳥メモについて
・見かけた場所を具体的には書かない(手元にはメモを残す、ネット上には公開しない)
・人が殺到するような珍鳥を見つけた時には公開しない(しばらく時間が経過してから記録として公開するのはあり)


ヒヨドリ
ムクドリ
シジュウカラ (S)
ヤマガラ (S)
エナガ
メジロ (S)
ハクセキレイ
キセキレイ
オナガ
コゲラ
アオゲラ (ド)
ジョウビタキ (ぐ)
ツグミ (ぐ)
シロハラ
イカル (S)
シメ
カワラヒワ (S)
カルガモ
マガモ
カワセミ
オオタカ
コサギ
アオサギ
ゴイサギ
ウグイス (S)
ガビチョウ (S)
カシラダカ
アオジ
モズ
トラツグミ
ハシブトガラス
ハシボソガラス
スズメ
キジバト (S)
ドバト
カワウ

(S) さえずり確認
(ぐ) ぐぜり確認
(ド) ドラミング確認

* * * * * * * * 

9日 ウグイス初鳴き(上手に鳴く個体とぐぜりの2羽)
18日 メジロ初鳴き
17日 ヒバリ初鳴き 玉川上水から100mほど遠く
ツグミ、ジョウビタキのぐぜり確認

私が玉川上水でウグイスの初鳴きを聞いたのは9日。
他の場所(といっても多摩地域内)では2月下旬に聞いています。
玉川上水でも、場所によってはもっと早いところもあったのかもしれませんね。

毎年春にさえずりを聞いているのに、見つけられなかったヒバリの姿をついに確認しました。
ただ、玉川上水から100mほど遠くを飛び回っていて、上水側へやってくる気配はありません。
これは玉川上水と関係があるとは言えない野鳥でしょうか...

* * * * * * * * 

ハシボソガラス巣作り 枝折りと細枝拾い確認
エナガが羽根をくわえて移動(巣作り)確認
シジュウカラが巣材をくわえて移動するところを確認
カワウの1羽が婚姻色に変わっていることを確認
→カワウの婚姻色について調べること。どうも、オスメスで違いが出るのかという情報がハッキリしない。

* * * * * * * * 

ツグミがミミズを食べる瞬間をじっくり見ることができたタイミングがありました。
図鑑で調べたらそれぞれの野鳥が食べるものは分かりますが、やはり自分の目できちんと確認したいものです。
環境が変わっていけば、今までは食べなかったようなものも食べ始めるかもしれない。重要な観察です。

* * * * * * * * 

「玉川上水の野鳥」なんていうものは、実際はほとんどいないのでは、と思うことがあります。
日没が近くなると、玉川上水の林では野鳥の気配がほぼ無くなります。
カルガモは日が落ちてもまだまだ水路にいる他、カラス2種は見かけることがありますが。
多くの野鳥の本拠地、ねぐらは別の場所にある可能性があり。
ねぐら調査をしてみたい...!!



眠そうなゴイサギ。かわいい。
お昼ごろまではほぼ眠っているようです。

3月の読書記録

東京の川研究会 ほか(2001)『「川」が語る東京―人と川の環境史』
杉本 苑子(1994)『玉川兄弟―江戸上水ものがたり』文春文庫
今森 光彦(2002)『雑木林のコレクション』フレーベル館
高橋敬一(2009)『「自然との共生」というウソ』祥伝社新書.
日本生態系協会 編(2006)『環境を守る最新知識(第2版)』信山社
養父 志乃夫(2006)『ビオトープ再生技術入門―ビオトープ管理士へのいざない』 農山漁村文化協会
ヨーゼフ ブラープ(1997)『ビオトープの基礎知識―野生の生きものを守るためのガイドブック 』日本生態系協会
日本生態系協会 編(2006)『環境を守る最新知識(第2版)』 信山社
公益財団法人日本生態系協会 監修(2016)『改訂版 ビオトープ管理士資格試験公式テキスト』 日本能率協会マネジメントセンター
三島 次郎(1992)『トマトはなぜ赤い―生態学入門』 東洋館出版社

司馬 遼太郎,木村 智哉(2003)『司馬遼太郎が描いた「新撰組」の風景』新潮社
永倉新八(2009)『新撰組顛末記』新人物文庫
子母沢 寛 (1996)『新選組始末記 新選組三部作』中央公論社
山村 竜也(2004])『新選組証言録 『史談会速記録』が語る真実』PHP研究所
日本ペンクラブ 編(2003)『新選組読本』光文社
壬生狼友の会(1999)『新選組468隊士大名鑑』駿台曜曜社


青木 登(2000)『多摩・武蔵野 花の歳時記』のんぶる舎
山下 喜一郎 ほか(2003)『武蔵野花名所』けやき出版
けやき出版 編(1999)『多摩 水べのあるくマップ―川・湖・池・滝・泉のほとり54コース』けやき出版
けやき出版 編(1994)『最新 多摩あるくマップ』 けやき出版
重信秀年(2013)『『江戸名所図会』でたずねる多摩』けやき出版
東京地図研究社(2005)『地べたで再発見!『東京』の凸凹地図』技術評論社 
加藤 剛 監修(2004)『東京ぶらり散歩道 東京都設定「歴史と文化の散歩道」を歩こう』双葉社 
江戸歴史散歩愛好会(2009)『東京・江戸散歩おすすめ25コース−鬼平の舞台から新選組ゆかりの地まで−』PHP研究所

(2013)『るるぶ高尾山』ジェイティビィパブリッシング

河出書房新社編集部 編(1999)『図説徳川家康』河出書房新社



3月前半は久しぶりに新選組関連の本を多く読む。
その他けやき出版の本をいくつか購入。
後半はビオトープ関連を多めに。ぜんぶ頭に叩き込みます。

玉川上水と新選組。直接の関係はほとんどありませんが、「多摩の風土・価値観の形成」という視点で考えた時、意外なほどつながりがあります。
そのため、例えば、大石学さんの『新選組 「最後の武士」の実像』の中にも「神田上水と玉川上水」についての記述があったりします。

けやき出版は多摩地域の歴史・民俗・自然関係の本を多く出版している会社です。いろいろと調べ物をしていく中で、かなりお世話になっています。

*ピックアップ&一言感想

地べたで再発見! 「東京」の凸凹地図
東京地図研究社(2005)『地べたで再発見!『東京』の凸凹地図』技術評論社

何度も図書館で借りたりして読んでいたこの本をやっと購入。
目玉の「地図が立体に見える3Dメガネ」は個人的にはやや微妙。
ただ、東京の地学を学ぶ一歩目として、とても分かりやすい内容になっています。オススメ。


玉川兄弟
文春文庫『玉川兄弟―江戸上水ものがたり』(1994)

もちろん過去に読み終わっているのですが、文庫版を今回購入。
文春文庫版には「江戸上水ものがたり」のサブタイトルが付いています。
フィクションでありながら、玉川上水を語る上では基本中の基本ともいえる一冊だと思います。
東京都水道局の制作した広報用のアニメ『玉川兄弟』は、こちらも小説を原作としています。

3月の花だより その6

玉川上水で見られる野草、山野草、雑草、樹木、花をご紹介!

3月の花だより その1はこちら
3月の花だより その2はこちら
3月の花だより その3はこちら
3月の花だより その4はこちら
3月の花だより その5はこちら


食べられる野草の観察と野草料理の会」の中で、たくさんの野草を観察しました。
その一部を紹介。



ハコベ(繁縷)
実際にはたくさんの種類があるハコベの仲間のことをまとめてハコベと呼びます。
春の七草としてもおなじみ。


フキ(蕗)の葉と花
斑入りのものをはじめて見ました。


ヤエムグラ(八重葎)
ひっつき虫としておなじみ。茎を触ってみるとざらざらしています。
アカネ科。


ノミノツヅリ(蚤の綴り)
ナデシコ科。これは花が咲いていない状態。
ハコベとも少し似ています。


オオイヌノフグリ(大犬の陰嚢)の果実
明治頃に入ったらしい帰化種。どこでも春に花が見られる雑草です。
詳しくは書きませんが、この果実の形が名前の由来となっています。


カラスムギ(烏麦)の花穂
見た目からも分かるイネ科。これもヨーロッパ原産。


オニノゲシ(鬼野芥子)の花
タンポポやノゲシの仲間は識別が難しいのですが、こちらは葉がトゲトゲ。


カタバミ(片喰)の花
葉が小さい。カタバミの花は家紋にもよく使われます。
オッタチカタバミという近年増えつつあるそっくりな帰化種もあるため注意。


ハハコグサ(母子草)の葉


チューリップの葉
自分のメモ用。まさかチューリップが生えていると思わなかったので、なかなか特定できなかった。


イモカタバミ(芋片喰)の花


コバンソウ(小判草)の実
実が小判に似ています。


ゲンノショウコ(現の証拠)の葉


ニリンソウ(二輪草)の葉

 
右がゲンノショウコの葉。左がニリンソウの葉。
ニリンソウの仲間は毒のあるトリカブトに似ているため危険なのですが、このあたりにトリカブトはありません。
ゲンノショウコは近くにも生えるため間違えやすい。花が咲いていれば簡単に区別できるんですけどね。


チダケサシ(乳蕈刺)の葉


ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索)の葉
この日、花は見つからず。ムラサキケマンなどに似た花が咲きます。


ヒトリシズカ(一人静)の新芽
葉が開ききる前の状態でも、花はしっかり咲いているようで、はみ出ている個体もありました。


カタクリ(片栗)の花


フデリンドウ(筆竜胆)の花


リンドウ(竜胆)の新芽


キランソウ(金瘡小草)の花


オドリコソウ(踊子草)のつぼみ


ミズキ(水木)の新芽と花芽


さて、今日観察できた植物の簡単なリストをつくりました。

玉川上水での確認が△になっているものは、「たぶん玉川上水付近にも生えていた気がするけど記憶が曖昧」なものです。確認できたら更新します。

もちろん、今日観察したもの以外にも、まだかなり多くの種類の野草を見つけられます。


名前 玉川上水での確認 周辺での確認
ハコベ
フキ
ナガミヒナゲシ(葉)
スギナ
ヤエムグラ
カタクリ
オニノゲシ
ブタナ
ナズナ
ノミノツヅリ
ヒメオドリコソウ
ホトケノザ
ヨモギ
カタバミ
カラシナ
コバンソウ
カラスムギ
ノビル
ハハコグサ
ゲンノショウコ
ホソバノオオアマナ(葉)
チダケサシ(葉)
ヒメカンスゲ
アオイスミレ
イモカタバミ
ジロボウエンゴサク(葉)
フデリンドウ
キランソウ
アマナ
オドリコソウ
カンアオイ(葉)
エビネ(葉)
スイカズラ(葉)
ヒトリシズカ
タチツボスミレ
カラスノエンドウ
オオイヌノフグリ
スズメノカタビラ
ノカンゾウ(葉)
ヤブカンゾウ(葉)
フクジュソウ
タツナミソウ
ウツボグサ
リンドウ(芽)