クワコ

桑の苗なら日本一〜♪』とは砂川音頭の一節。
立川市内の玉川上水沿い、砂川村は日本トップクラスの桑苗産地であり、養蚕も盛んでした
現在は、残念ながら業務として蚕を育てている家は残っていません。
砂川村のお蚕様


その頃の名残として、実生のクワがこのあたりの玉川上水林内にたくさん見られます
その木の実は野鳥たちの餌となり、生態系の一部となっています。

そして、クワがたくさんあることで、クワを食べる虫たちも当然生息しています

こちらは...


クワコ!
カイコの原種だと言われています。カイコほど積極的に産業利用はされないのですが、そこそこ立派な繭を作ります。ヤママユやウスタビガとともに、野蚕(やさん)と呼ばれます。

  
たくさん見つかる幼虫。
若い幼虫の頭部後ろはふくれあがり、まるで鳥の糞のようです。
脱皮を何度かして成長すると、糞の雰囲気は薄れ、アゲハ幼虫のような蛇目模様がはっきりしてきます。


うちにやってきたクワコさん。


ちなみに、顔はここです!

ミノウスバの繭

玉川上水ではウジャウジャ見られるミノウスバ

1頭だけ飼育していたのですが、先日繭を作りました。
羽化して成虫になるのは秋頃です。


なかなか美しい肌色の繭!

野生では、「食樹から移動して、落ち葉やコンクリート上に繭を作る」ようなのですが、見つけたことがありません。
今回飼育していた個体は、飼育下だからなのかマユミの葉を綴って、その中に繭を作りました。


本当に、蛾の繭は美しくて不思議。
小さなイモムシが、一所懸命作り出した芸術作品です。


葉を綴っていた様子。

アカボシゴマダラの羽化

飼育していたアカボシゴマダラが羽化しました。

野生のアカボシゴマダラも成虫の姿があちこちで見られる時期です。


蛹の様子。
あまり羽化スペースのない場所で蛹化してしまったため、竹串に固定しています。
羽化直前。頭部が黒くなってきていてます。


腹部の裂け目が入りました。
しかしここからが長いのです。


かなりの時間が経過した後、ついに頭部が裂け始めました。


頭が見えてきた!


もうちょっと!


体が全部出てきました!


向きを変えたところ。
翅がまだ少し縮れています。


ほぼ翅が伸びきりました。
セミの羽化なんかと比べるとかなりあっさり。


アカボシゴマダラ成虫、春型です。
多くの場合、完全な白黒カラーではなく、夏型で赤斑が出る位置にほんのり赤みがでます。


「口吻は一本のストロー状なのではなく2つに分かれている」
ということが分かりやすい写真。
偽瞳孔もかわいらしい。

  
砂糖水を飲む成虫。

そもそも飼育個体を放蝶することには色々な問題がありますが、外来種であるアカボシゴマダラは特に放蝶するわけにはいきません。
申し訳ないけれど、最後までうちの中で過ごしてもらうことになります。
蝶の成虫がいきいきと生活できる場所を室内に作ることは難しいのですが、できる限り大事に扱います。

ルリタテハの蛹化

以前から飼育していたルリタテハがついに蛹化しました。


いわゆる前蛹の状態。
イモムシの姿ですが、ぶらさがって蛹になる準備をしています。


だんだんと伸びてきて...


脱ぎ始めました!
さなぎの背中が見えます。


ちょっとずつ脱いでいく。


もうちょっと!


写真では伝わりにくいのですが、前後に体を振って、皮を脱いでいっています。


もう少し。
しかし、ここからが大変です。
体を固定しているのは、皮の先端部分。
上方向に皮を脱いでいくので、このままでは皮を落とせません。


このあたりがタテハチョウの蛹化の面白いところ。


よいしょっと!!!


なんと、脱いだ皮から体が外れています。
写真をよく見ると、皮の右側に蛹の先端がくっついているのが見えます。。


無事に脱皮できました。


もう幼虫の頃の皮に未練はありません。
ぶんぶん体を揺らして、皮を落とします。


できた!!


その後も数分は体を動かし続けて...


落ち着きました。
お疲れさま!


脱いだ皮と顔の殻。
ウニのようですね。


いつかは羽化して美しい蝶に!
楽しみです。