ルリタテハ

2016年7月の記事をアップデート。


(撮影 2016年7月)

ルリタテハは美しい瑠璃色のタテハチョウ。
薄い色の部分だけではなく、暗い部分も青みがあります。

ちゃんとした雑木林環境の中では珍しいチョウというわけではないのですが、見かけるとちょっとうれしい!
そして、自然観察初心者がこのチョウを見つけることができたとしたら、レベルアップできている証拠なのかも。
自然に興味を持っていない人にとっては、身近にいるとは思えない、見たことがないチョウのはずです。

著書『ひみつのゴマちゃん』にはルリタテハのことも掲載されています。


なかなか翅を開いてくれないことも。


翅の裏側。
枯れ葉に似た柄のチョウやガは多いけれど、これはどちらかといったら樹皮に化けているのではないかと思う。


ルリタテハを探せ!のコーナー。中央にいます。



若齢幼虫の写真。

幼虫の食草はサルトリイバラの他、ホトトギスなどのユリ科。どちらもたくさん玉川上水で見られます。
タテハチョウの仲間で、単子葉植物を食べるのは珍しい。不思議な感じもします。


4齢幼虫。
イラガのようなトゲを持っていますが、毒はなく、痛くもありません。(触り方によっては、ちょっとチクッとする、くらいのことはあるかも。)


5齢が終齢です。配色がほぼ逆になるため、簡単に終齢だと分かります。



蛹の様子。
ルリタテハの蛹化
それほど珍しくはないはずですが、自然下ではまだ見つけることができていません。
タテハサムライコマユバチという寄生バチの寄生率がそこそこ高く、終齢幼虫がいよいよ蛹化するというタイミングで中から現れます。そのこともあり、蛹になる前にある程度数が減ります。


タテハサムライコマユバチが現れた様子。
蛹化が遅いな、と思うとだいたい寄生されています。



年3化で成虫越冬。
4月に越冬した成虫が産卵し、6月頃に1化、7月後半〜8月頃に2化、9月以降に3化が見られます。

玉川上水でよく見かけたのは7月後半〜8月頃、樹液を訪れる成虫。
稀に冬季の暖かい日に飛んでいるのも見かけています。
5月にたくさんの幼虫を見ているので、当然それまでに交尾〜産卵しているはずなのだけど、タイミングが悪いのか、春にはほとんど出会えていません。

キハラゴマダラヒトリ


頭隠して尻隠さず!葉っぱに隠れているつもりなのかもしれませんが、バレバレです。


かわいらしいゴマダラ模様の蛾。


キハラゴマダラヒトリです。

アカハラゴマダラヒトリとそっくり。自然下での生体観察では同定困難。
今回、この後に捕獲し、お腹と前脚の付け根が黄色いことを確認したので、キハラゴマダラヒトリだと断言できます。


(撮影2016年8月)
こちらは2016年に撮影したもの。これ以外にも何度か撮影したのですが、この頃は腹側や前脚の付け根を見ないと見分けがつきにくいことを知らなかったので、どちらのゴマダラヒトリか分からずじまいでした。

アカハラゴマダラヒトリの方は翅が純白なのに対して、キハラゴマダラヒトリの翅はやや黄色みを帯びる。慣れたらそこも見分けポイントになりそうだけど、決め手はやっぱりお腹側。

アカボシゴマダラの蛹化

なんだかイモムシブログになりつつありますが、蛹化シーズン、羽化シーズンです。


今回はアカボシゴマダラ。前蛹というより、もう蛹化がはじまっている状態です。



脱ぎ始め。


皮にシワが寄ってきました。体も完全に脱力。


さらにシワが寄ります。


蛹の背中が見えてきました。


実は、このあたりで顔の殻は真っ二つに割れています。


蛹の背中がどんどん見えてきます。


ほぼ皮は脱ぎ終わり。
問題はここからです!皮部分の先が枝にくっついているため、このままでは皮を落とすことができません。


ここがポイント!蛹の先端がにょきっとでてきました。
なぜこれで落ちないんでしょう。
この先端を、枝の先に付けたい。
反動をつけて...


えいっ!何度か勢いを付けて、ようやく付きました。


無事に皮は体から外れました。今、枝についているのは蛹の先端です。


あとは、体をぶんぶん振って、この邪魔な皮と殻を落とします。


えいっ!!!!


大成功。


美しい蛹です。よく見ると、すでに顔らしきものが見えますね。


天地逆向きに撮影。

テングチョウ

 
2015年5月21日に記録。

テングチョウは、タテハチョウ科テングチョウ亜科の蝶で、エノキを食草としています。
その名の通り、天狗のような鼻(下唇髭)が特徴。
昔はテングチョウ科として独立して扱われていました。やや古い図鑑を見ると、確かにそう記載されています。
実際、タテハチョウの仲間とは雰囲気・大きさが結構違います。共通点もあるのですが。



2017年5月17日現在、飼育中のテングチョウ幼虫です。
タテハチョウというよりは、シロチョウの仲間っぽい、アオムシ感があります。
エノキには似たようなイモムシ、シャクトリムシがたくさん付くのですが、気門線がくっきりしていて、その下が暗い緑や茶色になっていることで判別できます。

飼育下での前蛹。


蛹の様子。
かなり小さく、2cm程度。


2016年6月25日に記録。

今年(2017年)の4月30日にも成虫を記録しています。

一年のサイクルはかなり独特。
春、4月頃に越冬成虫が産卵し、5月の終わり〜6月にかけて羽化。
羽化した成虫は暑い夏を休眠して過ごし、次の春まで生き延びます。
年一化なのに成虫越冬というかなり無謀にも思える生き方です。

ただ、地域や気候によってはワンシーズン遅れて2化が発生している可能性もあり。調査したいところ。