きのこの勉強を少し

特に6月〜10月くらいにかけて、玉川上水沿いではたくさんのきのこが見られます。
タマゴタケと玉川上水のきのこ

ただ、きのこは完全に専門外。

少しくらいはきのこについて説明できるように、少し勉強を進めます。

   
「きのこ」という言葉は、大雑把に分けて2つの意味で使われています。
1つは、一般的に「きのこ」だと認識されているものそれ自体を指す使い方。

実際にはこれは「子実体(しじつたい)」と呼ばれるもの。
植物における花や果実に相当する部分です。

もう1つの意味は、その子実体を形成する菌類のグループを指す使い方。
もちろん俗称です。
きのこの本体は地下に眠る菌糸です。
同じ菌類であるカビの仲間は子実体を形成しません。

「担子菌門」や「子嚢菌門」という専門的な言葉はありますが、「子実体を形成する菌類のグループ全体を指す言葉」はたぶん「きのこ」しかありません。


人間の感覚的には、一つの子実体を1個体っぽく認識してしまいそうになるけれど、前述した通り、植物における花や果実に相当する部分。
「きのこを一つ収穫した」というのは、植物の果実一つを収穫したようなものなのですね。


「きのこは世界最大の生物」というのも有名な話です。
同一遺伝子のため1個体と解釈できる菌糸がすさまじい大きさになる場合があります。
直感的にはそれを1個体と考えるのは変な感じがしますが、これも植物に置き換えるとちょっと納得。
一般的に「植物の大きさ」といえば、果実1つの大きさではなく株全体の大きさを言いますよね。


素朴な疑問と答えメモ

・きのこは植物?
植物ではない。光合成ができない。
独立栄養生物ではなく従属栄養生物。有機化合物を利用して生きている。
生態系の中の「生産者」である植物と違って菌類は「分解者」。

・カビときのこは違う?
同じ菌類。親戚。
カビは菌糸が成長して胞子と飛ばして増える。きのこは子実体から胞子を飛ばして増える。

・きのこはどんな場所に出る?
生活型によって異なる。
死んだ植物を分解する「腐生菌」のきのこ、植物の根と共生関係の「菌根菌」、動植物に寄生する「寄生菌」に大きく分かれ、それぞれが生育に必要な環境に出現する。
例えばマツタケはアカマツなどの松と共生関係にある。

・きのこはなぜあの形?
種類にもよるが、雨で胞子が濡れないための構造ではないか。
天気の悪い日には開かない(花粉が流れ落ちない)花が多い。
シダ植物の胞子のうも葉の裏側にある。




ふたたび「夜の林のかげえ」上映会

2016年9月21日(水)
小平のどんぐり林で「夜の林のかげえ」上映会が行われました。

8月27日(土)にも同様のイベントが行われていたのですが、その日は雨天のだったため公民館での開催となっていました。
今回は小雨決行。今度こそ野外での上映を!ということで開かれた第2回。
前日まで台風が来ていて、不安は大きかったものの、当日は夜まで雨が降らなかったため無事に野外で開催することができました。


ややアオマツムシのやかましさが気になったものの...やはり野外の方がずっと臨場感があります。

 
無事に終了!
おつかれさまでした。


おまけ。
最近はゴマダラチョウ/アカボシゴマダラの幼虫がよく見つかります。
この写真はアカボシゴマダラ。
時期的に、羽化するのかそのまま越冬するのか微妙なところ。

立川地域協議会主催 植物といきもの調査

立川地域協議会主催 「植物といきもの調査」として、玉川上水での自然観察会が行われました。

私は講師を担当。

9月中旬はいわゆる「夏の昆虫」発生のピークを過ぎ、それほど多くの花が咲いているわけでもなく、冬鳥たちもまだほとんど渡ってきてはいなくて、中途半端といえば中途半端なシーズンです。
にもかかわらず、色々なものが見つかりすぎて、なかなか先へ進めないような状態でした!
    

◆見つけたものと観察したこと



シラヤマギク
開花中の花、訪花するアリとカの仲間、葉の位置による形の違い

ネズミモチトウネズミモチ
緑色の果実、ネズミモチとトウネズミモチの実の形の違い
玉川上水に多く生えている、増えすぎると困る面も

・セミ
アブラゼミツクツクボウシがまだ鳴いている
抜け殻がまだまだ見つかる

・クモ
ジョロウグモが多い、オスとメスの違い(オスが小さい)
オニグモの仲間
ナガコガネグモのジグザグ網

ダンゴムシの抜け殻

ヒガンバナ
花が咲く頃には葉っぱがない、アゲハの仲間が訪れる
シロバナマンジュシャゲショウキズイセン

・増えすぎるシュロ
多くの実を付けている木、地面に落ちている実

チヂミザサ
花が咲いている株が多い

・林内と林縁の違い
日当たりの良い林縁にはススキのようなイネ科植物が多い

ミズヒキキンミズヒキ
ミズヒキは見頃終わりが近い
キンミズヒキが目立つ

・折れた樹木
玉川上水には老木が多く台風の後には多くの木や枝が折れる
大きめのコナラが根腐れにより倒れていた

・いくつかのつる植物
繁茂するクズ、少し花の咲いていたヤブマメ
ヤマノイモのむかご、オニドコロの果実


ヒナタイノコヅチ
名前の由来は子猪の膝と茎の節が似ていることから
分かりにくいが花が咲いている

・モグラ塚
モグラの仲間が土の中を掘る際に余分な土を捨てたもの
モグラを見ることは難しい

アサガオ
自生する植物ではないので通行人が植えた?

ツユクサ
開きかけの苞葉を観察


・たくさんの野菊


・樹皮にそっくりなイモムシ

・落ちていたハチの巣の一部


・落ちていた鳥の糞と未消化の種

チカラシバは引っこ抜けない

・たくさんのきのこ


・ヒゲの伸び始めたセンニンソウ

ゴンズイ
鮮やかな赤色の果皮は意外と堅い、種子はおいしくなさそう

ヌルデ
翼(よく)があるので見分けやすい、一応かぶれに注意


ガマズミの果実

・ムラサキシキブの果実
なかなか紫色にならない

・たくさんのテントウムシ
多く見つかったキイロテントウの他、ヒメカメノコテントウなど

野鳥の森公園

野鳥の森公園独歩の森(境山野緑地)と同様、玉川上水に隣接する武蔵野市内の緑地です。


雑木林の雰囲気を残した公園、という感じです。
特別に状態の良い林ではないのですが、やはりこういった緑地が残っていることがとても大事です。
樹木の構成種はコナラ、クヌギにシデやミズキなど。玉川上水沿いに見られる種と似通っています。
やや特徴的なのは多くアカマツが残っていること。
松を利用する昆虫や野鳥にとっては重要な環境です。




独歩の森よりしばらく下流、三鷹駅の近くに位置しています。



「野鳥の森」ということで、見られる野鳥を丁寧に解説したパネルが設置してあります。
掲載されている野鳥はシジュウカラ、ツグミ、ウグイス、メジロ、カワラヒワ、ジョウビタキ、ヒヨドリ、キジバト、ムクドリ、コゲラ、オナガ、ハクセキレイ。
実際はもうあと数種類は見られるのではないかと思いますが、「野鳥の森」という名前にしては少し物足りない環境にも思えます。
冬になったら野鳥観察に来てみようかな。

良い形で残っていってほしい緑地です。