ツクツクボウシの羽化

本日の夜間昆虫調査中に遭遇しました...

ツクツクボウシの羽化!

しかも2頭同時です。
片方は草の先、もう片方は低木の枝だったのですが、距離にして50cm以内。

見とれていたところ、なんとカメラのバッテリー切れ!
普段は予備のバッテリーを持ち歩いているのですが、こういう日に限って忘れるものです。


バッテリーを交換し、再びセミの元へ。
さっきよりも翅の輝きが増しているような感じがします。

 
もう片方の個体。
なんと抜け殻が落ちていました!
どういう動きをしたのか不明ですが、脚で枝につかまることで助かったようです。

殻から抜けた後、抜け殻のすぐ隣でじっと止まっている個体は見かけることがあります。
このツクツクボウシは、殻から抜けた後に少し横へ移動したらその殻が外れてしまったのかもしれませんね。


ツクツクボウシの抜け殻。
ヒグラシとは殻がそっくり。成虫の体のつくりも共通点がたくさんあります。
並べて比較しないとなかなか違いが分かりにくい。

玉川上水のカブトムシ・クワガタ

玉川上水中流域は、コナラ・クヌギ中心とした典型的な武蔵野の雑木林
当然、そういった環境を好むカブトムシ・クワガタの仲間は生息しています。

・カブトムシの仲間
カブトムシ

・クワガタの仲間
ノコギリクワガタ
コクワガタ
ヒラタクワガタ

探すのは難しいのですが、カブトムシの仲間としてコカブトムシがいる可能性があります。
樹液にはあまりやってこないみたいなので、樹液を中心とした調査では見つけにくい。

クワガタの仲間では、オオクワガタ、ミヤマクワガタが見つかる確率は0ではないと思いますし、アカアシクワガタなんかが見つかる可能性もあります。
まだまだ調査が必要ですね。

カブトムシ
カブトムシのオス。黒みが強い。
赤カブトムシ
カブトムシのオス。赤みの強い個体。
極端に色の強いカブトムシは赤カブト、黒カブトなんていい方をすることもあります。

ノコギリクワガタ
ノコギリクワガタのオス。
探せばもっといい写真があるはず。
大きな個体でいわゆる長歯型。あごが大きく曲がっています。


ノコギリクワガタのオス。
こちらは小さな個体で原歯型
あごが直線的。これはこれでカッコイイ!

ヒラタクワガタ
ヒラタクワガタのオス。
個体数はやや少ない感じがしています。

コクワガタ
コクワガタのオス。
本当に小さなものもいます。2cm以下の個体に出会うとちょっとびっくり。


交尾中のカブトムシペア


まれに安全柵を登る甲虫に出会います。
樹の幹と違って引っ掛かりがないので、とても登りにくそう。



玉川上水緑道では、樹液の出ているコナラ・クヌギをかなりたくさん見つけることができて、当然樹液にやってくる昆虫も多く見つかります
これは、緑地としての玉川上水がかなり特殊な形をしていることと関係していると考えています。

樹液の出やすい場所は、深い森の中ではなく日当たりのいい林縁
質の良いまとまった形状の緑地では、林縁の長さは限られていますし、「林縁に沿って歩く」なんてことができない構造になっている場合があります。
ところが玉川上水は細く細くそして長い。特に昭島〜三鷹あたりまでは東西に長く伸びています
つまり、ものすごい長さの日当たりのいい南向き林縁が存在しているのです。
(さらにその林縁のほとんどに遊歩道がある。)

このことを完全な長所だとは思っていません。
林が細いことで森林性の生き物は住みにくく、外部からの影響も受けやすくなっています。
『ダイヤモンド(アメリカの生物学者)の6原則』でも、細く長い緑地よりは丸くまとまった緑地が好ましいとされます。

ただ、玉川上水の大きな特徴とは言えると思います。
環境の変化に強く、林縁を好む動植物にとっては住みやすい環境なのかもしれませんね。



カブトムシ・クワガタ採集の注意点

・虫の隠れている樹皮をはがさないで!
大事な隠れ場所が失われます。

・樹液を出すために樹皮を傷つけないで!
樹皮が剥がされる夏

・入ってはいけない場所には入らない!
当たり前のことです。

・危険な生き物に注意!
夜間も活動するスズメバチの仲間がいます。ヘビ類もいます。

簡単にカブトムシ・クワガタを採集したいと思ったら、とにかく緑地周辺の保全団体や調査をしている人とコミュニケーションをとることがなによりの近道だと思います。
探し慣れている人のアドバイスがあれば、本当にあっさりたくさん見つかります
親子での虫取りを楽しむだけではなく、ついでに地域交流を楽しみましょう!

採集についても、子供が少し採る分には問題ない場合がほとんどですが、現地の方と話をして、やっていいこと、やってはいけないことをなんとなくでもいいので把握をすることが大事。

逆にやってほしくないのは、インターネットでカブトムシ・クワガタがたくさん採れる場所の情報を集めてその場所へ行くことです。
その土地に関係のない人間がぞろぞろと集まると、何かとトラブルの元になります。

玉川上水のセミ

玉川上水には5種(+1種)のセミが生息しています。

・アブラゼミ
・ミンミンゼミ
・ニイニイゼミ
・ツクツクボウシ
・ヒグラシ
・クマゼミ(局所的)

クマゼミは要注意。
本来の生息域ではないのですが、卵が産み付けられた樹が運ばれてきたのか、あちこちで増えてきています。
実際にクマゼミが優勢になってきた時、どんな問題が起こるのかは分からない部分が多いのですが、とりあえず分布が広がりつつあるのかどうかという部分には要注意しつつ調査していきたいところです。

また、ヒグラシは玉川上水緑道全域に生息しているわけではないと思っています。調査不足。


アブラゼミの成虫。


ミンミンゼミの成虫。

 
ヒグラシの成虫。左がオス、右がメス。


羽化したばかりのニイニイゼミ


撮ろうとすると意外にいい場所にいないのがセミたち。
積極的に写真を撮ろうとはしていないのですが、現時点で玉川上水のニイニイゼミ、ツクツクボウシ、クマゼミの良い写真がありません。
良いタイミングがあれば記録として撮っておこう!



玉川上水緑道や周辺の林ではセミの羽化もよく観察できます。
特に7月下旬頃から観察しやすくなりますね。


19:00過ぎに夜の雑木林を歩いていると、トコトコと樹を登る幼虫や、背中が割れ始めた個体が見つかります。

羽化が始まったら絶対に触ってはいけません!要注意。
羽化の失敗率が高くなります。

羽化が始まる前にウロウロしていて踏まれそうな幼虫を木の側へ誘導する、というのはあり。
ただ、不慮の事故で羽化できずに死んでしまう個体も一定数いてバランスが取れているという考え方もできます。
あまり神経質になる必要はないと思っています。

ヒグラシ

美しい声を林に響かせる夏の風物詩!
ヒグラシです。
他のセミの仲間と同様に、カメムシ目セミ科。

多くのセミの鳴き声は「騒音」と思われてしまうことがありますが、このヒグラシの鳴き声はどこか涼しげで情緒があります
鳴く時間帯は基本的に早朝と夕方。
ただし、曇っていると昼間でも鳴くことがあります。(気温や湿度にもよるのかもしれない。)


左下がオスで右上がメス。
よく見てみると、別のセミなんじゃないかと思うくらい腹の大きさが違います

アブラゼミやミンミンゼミに比べて、ヒグラシやツクツクボウシはかなり小型です。
(抜け殻調査でも見分けやすい。)
それでも、その小型のセミたちの声はよく通ります。
その理由は、音を出すオスの腹が極端に大きいからなんですね


交尾中のペア。

ところで、團伊玖磨作曲、北山冬一郎作詞による『ひぐらし』という日本歌曲があります。
「日暮れ ひぐらし ひぐれに哭く〜」と始まるこの歌は、かなりモダンな和声がつけられていて美しい曲です。
『ラジオ体操第二』や『ぞうさん』など、親しみ深い曲も多く作曲している團伊玖磨ですが、この『ひぐらし』は気軽に口ずさむにはちょっと難しい。


このヒグラシは、都会型のセミと比べると、湿ったやや暗い環境を好むようです。
市街地ではあまり見つからないかも。
玉川上水では多くの場所でヒグラシの声を聞くことができます。玉川上水水路による湿度上昇、気温低下とも関係があるのでしょうね。