玉川上水の桜 開花はいつ?見頃はいつ?

お花見シーズンが近づいてきました。

2016年、東京の桜開花日は3月21日(月)頃満開予想日は29日(火)頃となっています。
(まだ前後する可能性があります。)
平年よりやや早めか。

さて、玉川上水の桜は...??


(撮影 2016年2月19日)

(撮影 2016年2月26日)

もう咲いています!!

というのは当然。
「桜の開花予想」で予想されているのは、あくまでソメイヨシノの開花予想
早咲きのカンザクラ系の桜や河津桜の仲間はすでに見頃か見頃過ぎとなっています。


ではあらためて。
去年の玉川上水 春の桜の様子です。


(撮影 2015年3月31日 立川市内)
玉川上水駅付近で多くの桜が見られます。


(撮影 2015年3月31日 小金井市内)
すばらしい桜の名所だった小金井の玉川上水。今は衰えています。


(撮影 2015年3月31日 小金井市内 ヤマザクラ)


(撮影 2015年3月31日 小金井公園) 
現在、玉川上水の小金井桜は、小金井公園に受け継がれているといってもいいと思っています。
都心と比べたら混みにくいためおすすめの花見場所です。


(撮影 2015年4月2日 拝島駅付近)


(撮影 2015年4月2日 西武立川駅付近 暗渠部分)
部分的に暗渠になっている部分が、のんびり桜を楽しめる散歩道となっています。


(撮影 2015年4月2日 羽村市内)
大昔からの名所ではありません。
大正頃から植樹がはじまり、昭和に入って多くのソメイヨシノが補植されたようです。
樹齢が50年を超えて限界がきており、伐採予定となっている桜も多くなっています。


去年は3月31日頃がピークでした。
ただ、羽村市周辺は気候の違いからか、若干開花が遅れるようです
4月2日の時点でもまだつぼみが見られました。


今年2016年、お花見シーズンの休日は3月26日(土)27日(日)、次の週は4月2日(土)3日(日)。
なかなかのタイミングの悪さ。休日に花見をしようと思ったら、やや早めかやや遅めの2択になります。

・26日(土)27日(日)のおすすめスポット
小金井周辺の玉川上水→小金井公園でお花見
吉祥寺周辺の玉川上水→井の頭公園でお花見

すさまじく混み合うことが予想される井の頭公園よりは、小金井公園がおすすめです。
特に朝は混みにくく、のんびり楽しめます。

・2日(土)3日(日)のおすすめスポット
羽村周辺の玉川上水→羽村堰でお花見

花見シーズンの羽村堰付近は若干人が多くなりますが、多摩川方面まで含めるとかなりのスペースがあり、訪れる人達も分散します。のんびりした雰囲気。



どうしても3月末、4月上旬にお花見ができなかった時は...??

 
(撮影 2015年4月19日 小金井公園) 
4月下旬でも楽しめる桜があります
こちらは「江戸」というサトザクラの園芸品種。
サトザクラの仲間、八重咲き品種の多くは遅咲き。
小金井公園には多種多様な品種が植えられているので、ソメイヨシノの開花時期を過ぎても桜を楽しみやすくなっています。

企画展「ムダ堀の謎をさぐる」と「かなしい坂」

行ってきました、府中市郷土の森博物館。


そこで現在開催されている企画展が「ムダ堀の謎をさぐる」です。

ムダ堀とは、府中市内で見つかった大きな溝跡のこと。
このムダ堀は、「かつて玉川上水をここに掘ろうとして失敗したもの」ではないかという説があるのです。

江戸文化の研究家である三田村鳶魚がその説を考証し、杉本苑子さんの小説『玉川兄弟』にも府中からの取水に失敗するエピソードがあります。
ただし、三田村鳶魚の研究内容はやや「うさんくさい」とされることも多く、小説『玉川兄弟』はあくまで物語。
現在では否定的な見解が主流となっています

とはいっても、掘の跡があったことは確かなこと
一体何のために掘られたものなのか。玉川上水と関係がないとしたら、それはそれでさらなる謎を呼ぶ、興味深い遺構なのです。

会期は2015年10月10日〜2016年3月31日まで。

ただし、この機会を逃してしまったらムダ堀に関する情報が得られなくなるわけではありません。

1階ミュージアムショップで常時販売されている「府中郷土の森博物館 紀要 2012年 第25号*1に、この展示に関係する情報のほとんどが「ムダ堀に関する覚書」としてまとめられています。
今回の展示は、その考察の出典元となった資料の実物を見られる機会、というイメージでしょうか。

府中郷土の森内ではたくさんの復元建築物、そして植物を見られます。じっくり見たらそれだけで一日楽しめます。

川崎平右衛門像。府中出身。
江戸中期に玉川上水と大きな大きな関わりがありました。いつか川崎平右衛門の記事も書きます。


まいまいず井戸もあり。

梅を楽しむにも桜を楽しむにも中途半端なタイミングでしたが、春の野草が咲きはじめていました。

シュンランの花。


カタクリの花。もう咲きはじめているものがあり驚きました。
玉川上水ではまだ葉が出始めたところ。


ユキワリソウの花。これ、好きなんです。キンポウゲ科で、アズマイチゲなんかのイチリンソウの仲間にも似ていますね。


その後しばらく移動しまして、多磨霊園駅付近へ。

ここにあるのが...

かなしい坂」の案内。
玉川上水は、はじめ府中の八幡下から掘り起こし、多磨霊園駅付近を経て調布の神代辺りまで掘削して導水していました。しかし水はこの坂あたりで地中に浸透してしまい、工事は失敗に終わってしまったとされています。この工事の責任を問われて処刑された役人たちが、「かなしい」と嘆いたことからこの名がついたといわれています。
つまり、さきほどの「ムダ堀」のことです。
この坂のあたりで福生の「水喰土」と同様、水を吸い込んでしまい通水できなかった、という伝説のような昔話のような、言い伝え。




地図ではこのピンのあたり。
駅から南西に坂を下り、東郷寺の手前。
府中市観光協会のwebサイトに載っている、地図上のピンが全然違う位置であることに注意です。


*1 2016年現在、通販でも購入できるようです。こちらのリンクより。

イカル

イカル(鵤)は年によって玉川上水で多く見られるアトリ科の野鳥です。

玉川上水ではおそらく漂鳥。
そのほとんどが冬に南下してきている群れだと思っています。今後4月、5月も見られるのか要チェック。


その特徴はなんといっても、アトリ科特有の大きなくちばし!色も鮮やか



硬い実を、そのペンチ型のくちばしで砕いて食べることができます。
「ムクノキの実をよく食べる」と紹介されることがありますが、私が観察している範囲にムクノキはほとんどなく、エノキの実を中心に食べています

そのさえずりはかなり陽気な歌
早朝にさえずるイカルに何度も遭遇しています。
2月3月に群れでのさえずりを。1月上旬に単独で長々と歌う姿を目撃済み。

そのさえずりが、「ツキ、ヒ、ホシ〜!(月、日、星)」と聞こえるため、サンコウチョウ(三光鳥)と呼ばれることもありました。
ただし、「ツキ、ヒ、ホシ、ホイホイホイ!!」と鳴く、別種の本家(?)サンコウチョウもいるため、この呼び方をするとややこしい。


10〜30羽程度の群れで行動している姿をよく見かけます
「地上でウロウロとエサを探す群れ」もおなじみなんですが、人通りの多い玉川上水ではなかなか見かけません。

ところで私は「過去に玉川上水で見られた野鳥」の資料を少しずつ集めていっていますが、このイカルの名前はあまり出てきません。

過去にはイカルが当たり年だったことはなかったのでしょうか。

 
おなかはふかふか。アトリ科の中では比較的ふっくらとした体型です。



同じアトリ科のシメは形がそっくり。実を食べる姿もそのまんま色違いという感じ。
ただし、シメはほとんど群れをつくらず、単独で行動しています。
大きさもシメのほうが少し小さい!(カワラヒワはそのシメよりもさらにワンサイズ小さい。)

オオタカ

日本の鷹といえば何といってもこのオオタカ
同じ猛禽類のツミと比べると、倍くらいの大きさです。(50〜60cm)

  
「玉川上水でよく見かける猛禽類」ではないのですが、いくつかのエリアで目撃例と営巣例があります。
また、玉川上水からある程度の距離はありますが、昭和記念公園で繁殖が確認されたことがニュースにもなりました。

「オオタカの生息する自然環境はすばらしい!」というイメージがあったような気がするのですが、少しずつ変化してきています。
本来はとても人の気配に敏感な野鳥なのですが、年々少しずつ人里へ進出しているようです。



ネズミのような哺乳類も食べますが、ハトやキジのような大型の鳥を捕食することが多いようです。
玉川上水ではキジは基本的に生息していないので、ハトを中心に狩りをします。

生態系にとって重要な存在でありながらも、「野鳥」と考えていいのか際どいラインの鳥であるドバトを捕食することが多いというのはちょっと不思議な感じがします。
警戒心の薄いドバトが都市部に安定して多く生息していることが、オオタカの都会進出と関係しているのかもしれません。


こんな感じの狩りの跡が頻繁に見つかります。
確実に生息しているツミ、多くはないものの目撃情報のあるチョウゲンボウ、ノスリなど、他の猛禽類は小型の鳥を餌とすることはあっても、ハト類を食べることはないと思うので、ほぼオオタカの仕業ではないかと考えています。


さて、このオオタカ、「国内希少野生動植物種」に指定されていたのですが、解除される方向で進んでいます
→環境省「オオタカの国内希少野生動植物種解除と解除後の対応についての検討

記事内に、
これまでオオタカを象徴とする環境の保全において環境影響評価などに活用されてきた「猛禽類保護の進め方」については、オオタカが里山を象徴する生態系上位種であることに変わりはなく、「猛禽類保護の進め方」の考え方や生態系上位種との位置づけに変化はないとの考えから、引き続き活用されることが期待される。
とあるように「生態系上位種との位置づけに変化はない」のですが、「オオタカが生息しているので」ということが、緑地の開発を止めるための説得力としてパワーダウンしてしまうことになりそうですね。
実際に個体数が回復しているのは良いことだと思いますが、動向が気になる話題です。