渡れなくなったマガモ

自分の野鳥記録を見る限り、玉川上水に冬鳥としてやってきたマガモと漂鳥のカルガモは3月の終わりから4月上旬にかけて帰っていったと思われます。
(カルガモは冬季にかなり増える。数十羽以上。)

ところが、4月22日の時点で「まだマガモがいるよ」という情報をいただきました
おかしいなと思ったのですが、どうも羽根を損傷して飛べなくなっているとの話。

実際に見てきました。


マガモのオス。
たしかに羽根に損傷あり。これでは長旅はできないでしょう。
今日(5月16日)時点でもここにいることを考えると、玉川上水で留鳥として生きていくことになるのでしょう。

カルガモとの交雑種(いわゆる「マルガモ」)や、見た目はマガモに見えるアオクビアヒルは渡りをしない場合がありますが、この個体はどちらでもないと思います。

  
メスかどうかは分かりませんが、常に近くにカルガモがいて、ペアでのんびり暮らしているようです。

トラブルで渡れなくなった野鳥はどんな気持ちで生活しているのでしょうね。

小平の夏鳥調査+観察会に参加しました

小平市内の玉川上水で開催されたどんぐり林の夏鳥調査+観察会に参加してきました。

人通り、車通りの多かった時間帯であったこともあり、観察できた野鳥の種類・数はやや控えめな結果。
ただ、夏鳥の飛来はばっちり確認できました。キビタキにエゾムシクイ、玉川上水周囲のツバメなど。
この時期の野鳥観察の面白さは、まだ冬鳥も残っていることです。ツグミ、シメの声はまだあちこちから聞こえてきます。

そして、やはりというか、調査への参加はとても勉強になります。
良い出会いもあり、楽しい観察会でした!また参加したい。


後半は、加藤ななえさん(バードリサーチ / カワウ研究者)のお話でした。
カワウに関する、魅力的で楽しいお話がたっぷりの時間。
カワウに対する考え方が変わりました。
最近は玉川上水での目撃も増えているので、この機会にしっかり観察してみようかな。

玉川上水に水量が多かった時代、水辺の野鳥はどうしていたか

玉川上水に水量が多かった時代には、水辺の野鳥はどうしていたのか?
以前から気になっていた問題です。

現在、堀の形に対して極端に水量の少ない玉川上水。
ただ、そんな水量の水路だからこそ利用しているように思える野鳥がたくさんいます。

・ハクセキレイ / キセキレイ
水路の底に土が堆積してできた足場や、水路に落ちている枯れ枝があるとやってきます。
水量たっぷりの堀構造になっている水路では、よい居場所がないはず。

・サギ類
玉川上水ではコサギ、ダイサギ、アオサギのほかゴイサギも見られます。
基本的に足が水底につく水辺を利用しているはず。歩きながら魚を獲っている姿をよく見かけます。
潜ることも泳ぐことも基本的にしないので、水深の深い堀はうまく利用できないはず。

・カルガモ / マガモ
ただし、カルガモ / マガモは潜らないカモなので、水量がたっぷりあると、水底の藻をとるようなことはできなくなります。
現在の水量なら、ちょうど頭を下にすると、水底に届いているようで、よくそんな仕草が見られます。

自然にできた池や川ならば、浅くなっている水辺で藻や草を食べられるのですが、お堀状に掘り下げられている玉川上水では、水量が多い場合、食事が難しいでしょう。

現在、玉川上水で見られるカモ類は、ほぼこのカルガモとマガモの2種のみ。
ただ、羽村取水堰付近、水量がやや多い第3水門までの水路には、キンクロハジロやオオバンなどが見られることがあります。これも、水の深さが大きく関係していると考えられます。




また、昔の玉川上水は流れもかなり速かったようです。(具体的にどのくらいだったかは確かめようがない。水量に関しては記録があるようですが。)
その点も生き物にとって利用しにくい水場だった可能性はあります。

仮説でしかなかったのですが、裏付けられるような一文を最近発見。
「とうとうと水が流れていた時代は、鳥も恐ろしいのか、水辺に近寄らなかったのに、いま流れているのは浅瀬でしょ。野鳥には好都合のようですね。水が流れるようになってサンショウクイが姿を現しました」
アサヒタウンズ編(1991)『玉川上水―水と緑と人間の賛歌』より

清流復活後、昭和62年頃の話題です。
この文の少し前に「水辺にやってくるセキレイが増えた」という記述もあり。
もう少し時代が進むと、サンショウクイはほとんど見ることができない野鳥となるので、その部分の記述に関しては、なんともいえない気持ちになりますが...
やはり水の流れの変化により、やってくるようになった野鳥はいるようですね。



野鳥録音に必要な機材は?

*2022年更新!


Springin' Sound Stock(スプリンギン サウンドストック)
には、私が収録したたくさんの野鳥の鳴き声が、無料で使えるフリー効果音として公開されています!


特に、「自然・動物カテゴリ」では、野鳥や昆虫などのクリアな音素材が多数配信していますので、ぜひご活用ください。
商用利用可能利用報告も不要な、いわゆるフリー素材です。
自然観察会や環境教育などでご活用いただけます!
ちなみに、ウグイス、シジュウカラ、ヒヨドリなど、多くの音声は玉川上水で収録したものです

野鳥録音にオススメのレコーダーは?

「PCMレコーダー」の表記があるレコーダーをおすすめします。

会議や講義の録音、学習用に作られた「ICレコーダー」は、そもそも高音質で録音できる仕組みになっていない製品があります。
最新の「ICレコーダー」の中には、問題ないレベルの高音質録音ができるもの(PCM対応と表記してあるもの)もありますが、機能やマイクの特性などが、やはり会議や講義の録音に特化したものが多くなっています。
音楽録音向けの機材の方が、野鳥録音に向いた特性を持っていると言えると思います。

お値段はピンキリ。1万円前後〜10万円弱まで。
目的に応じて選ぶことになります。

目的 おすすめ製品
鳴き声のメモ スマートフォンのボイスメモ機能
最新のスマートフォン、特にiPhoneのマイク性能は
メモ程度の用途ならば十分
気軽にクリアな録音がしたい 1万円前後のマイク内蔵PCMレコーダー
iPhoneに接続するタイプのマイク
本格的な録音がしたい キャノン(XLR)端子付きのレコーダー
最高音質で録音がしたい ハイレゾ対応、32bit floatのレコーダー


ZOOM ズーム リニアPCM ハンディレコーダーH4nPro
※キャノン(XLR)端子付き、内蔵マイク付きのレコーダー例。2万円台。
コスパが高く、十分すぎる性能。気軽に使うならこのくらいのものがオススメ。



ZOOM ズーム リニアPCM ハンディレコーダー H1n
※1万円前後のマイク内蔵PCMレコーダー例。
ちょっとした録音なら十分な性能。キャノン(XLR)端子のマイクは接続できません。


  

ZOOM ズーム フィールドレコーダー 2チャンネル入力32bit float F3
※32bit float対応のレコーダー例。
3万円台。32bit float対応のため、ゲイン調整で失敗しない。

野鳥録音にオススメのマイクは?


目的 おすすめのマイク
特定の野鳥の鳴き声を
クリアに録音する
ガンマイク
(ショットガンマイク)
多くの野鳥を一度に録音する ステレオマイク
その場で聞こえていた音を
忠実に再現したい
バイノーラルマイク


Roland ローランド バイノーラル マイクロホン イヤホン CS-10EM 
Roland ローランド バイノーラル マイクロホン イヤホン CS-10EM
Rolandの安価なバイノーラルマイクです。CS-10EM。
バイノーラルマイクとしては破格の安さ。1万円弱くらい。
愛用しています。

「効果音的に録る」のではなく、「その場所でどんな音が聞こえていたのか」という記録目的にはピッタリなのがバイノーラルマイクです。
イヤホン、ヘッドホンで録音した音を聞けば、立体的に音が再現されます

林の中で、多方から複数の野鳥のさえずりが聞こえてくるような状況にもピッタリ。
ステレオミニプラグ、プラグイン・パワーで動作するマイクなので、多くの安価なレコーダーでも使える点も良し。




FOSTEX エレクトレット・コンデンサー・マイクロホン MC32
FOSTEX エレクトレット・コンデンサー・マイクロホン MC32
効果音のように、特定の野鳥のさえずりだけを録音したい場合、超指向性のマイク(ショットガンマイク)が必要になってきます。


私はaudio-technicaの超指向性マイクを使っています。(AT815b)

もちろん、こういったショットガンマイクも、「まわりに騒音があっても目的の音だけを拾える」ほど劇的な指向性があるわけではありません
クリアな鳴き声を録りたいのなら、無風で騒音のないタイミングで録音する必要があります。これが難しい。

また、このマイクを構えると林の中ではどうしても目立ちます。
野生動物への影響を考えると、あまりやたらとこのマイクを振り回しながら移動はしたくないものです。
(狭い緑道、緑地では通行人の邪魔にもなります。)
ということもあって、かなりピンポイントでの起用となっています。

RODE ステレオコンデンサーマイク NT4
RODE ステレオコンデンサーマイク NT4

ステレオマイクの例。5万円程度。
結構な値段ですが、ちゃんとしたステレオマイクの中では比較的安価でコスパが良いタイプ。

近年はレコーダー内蔵マイクの品質が馬鹿にできないので、中途半端なステレオマイクを買ってももったいない買い物となってしまいます。

アンビエント的にきれいに集音したい場合はこういったマイクを使用しますが、多くの高価格なマイクは非常にデリケートです。
雨水や川の水でいつ濡れるかも分からないような環境で10万円クラスのマイクを使うことはかなり危険。


ステレオマイクRODE NT-4。愛用しています。
マイクとレコーダーの距離をある程度離せることも外部マイクを使うメリットのひとつ。
やや遠い場所にマイクを置きっぱなしにして、レコーダーは手元に置いて音のモニターや録音操作を行うこともできます。