玉川上水に水量が多かった時代、水辺の野鳥はどうしていたか

玉川上水に水量が多かった時代には、水辺の野鳥はどうしていたのか?
以前から気になっていた問題です。

現在、堀の形に対して極端に水量の少ない玉川上水。
ただ、そんな水量の水路だからこそ利用しているように思える野鳥がたくさんいます。

・ハクセキレイ / キセキレイ
水路の底に土が堆積してできた足場や、水路に落ちている枯れ枝があるとやってきます。
水量たっぷりの堀構造になっている水路では、よい居場所がないはず。

・サギ類
玉川上水ではコサギ、ダイサギ、アオサギのほかゴイサギも見られます。
基本的に足が水底につく水辺を利用しているはず。歩きながら魚を獲っている姿をよく見かけます。
潜ることも泳ぐことも基本的にしないので、水深の深い堀はうまく利用できないはず。

・カルガモ / マガモ
ただし、カルガモ / マガモは潜らないカモなので、水量がたっぷりあると、水底の藻をとるようなことはできなくなります。
現在の水量なら、ちょうど頭を下にすると、水底に届いているようで、よくそんな仕草が見られます。

自然にできた池や川ならば、浅くなっている水辺で藻や草を食べられるのですが、お堀状に掘り下げられている玉川上水では、水量が多い場合、食事が難しいでしょう。

現在、玉川上水で見られるカモ類は、ほぼこのカルガモとマガモの2種のみ。
ただ、羽村取水堰付近、水量がやや多い第3水門までの水路には、キンクロハジロやオオバンなどが見られることがあります。これも、水の深さが大きく関係していると考えられます。




また、昔の玉川上水は流れもかなり速かったようです。(具体的にどのくらいだったかは確かめようがない。水量に関しては記録があるようですが。)
その点も生き物にとって利用しにくい水場だった可能性はあります。

仮説でしかなかったのですが、裏付けられるような一文を最近発見。
「とうとうと水が流れていた時代は、鳥も恐ろしいのか、水辺に近寄らなかったのに、いま流れているのは浅瀬でしょ。野鳥には好都合のようですね。水が流れるようになってサンショウクイが姿を現しました」
アサヒタウンズ編(1991)『玉川上水―水と緑と人間の賛歌』より

清流復活後、昭和62年頃の話題です。
この文の少し前に「水辺にやってくるセキレイが増えた」という記述もあり。
もう少し時代が進むと、サンショウクイはほとんど見ることができない野鳥となるので、その部分の記述に関しては、なんともいえない気持ちになりますが...
やはり水の流れの変化により、やってくるようになった野鳥はいるようですね。