おすすめ本|中西 悟堂『鳥を語る(野鳥記コレクションIII)』

鳥を語る (野鳥記コレクション)
中西 悟堂 (2004)『鳥を語る(野鳥記コレクションIII)』春秋社

野鳥研究家(という言い方では色々と足りない気がする)中西悟堂氏の著作から再編した、ベスト盤のような構成になっている一冊です。
全16巻の『定本野鳥記』からの選りすぐり。
現在『定本野鳥記』を入手することは難しいため、その内容を読みたかったら、この『野鳥記コレクションI〜III』のシリーズを買うことになります。

前半は「一鳥一題」と題して、野鳥一種ごとのエッセイになっています。
これが異様なほどの内容の濃さ。そして読みやすい。
鳴き声など生態に関することや、鳥名の語源、日本各地での呼び方にまで触れています。

かつて「探鳥」がどれだけ文学と結びつきの強いものだったのか、実感できる一冊です。

2月の読書記録

アサヒタウンズ編(1991)『増補 玉川上水―水と緑と人間の賛歌』けやき出版.
榎本直樹(1993)『砂川の神社と寺院』立川市教育委員会
羽村市教育委員会(1980)『第六集 講座玉川上水』

井上光貞(1979)『図説歴史散歩事典』山川出版社
大島 暁雄(1983)『図説民俗探訪事典』山川出版社

岩瀬徹(1993)『日本の山野草 (ポケット図鑑)』成美堂出版
船越 亮二(2003)『散歩が楽しくなる樹の薀蓄』講談社
おくやまひさし(2001)『野草ガイドブック』永岡書店
本田 正次 牧野 晩成 (1983)『植物の図鑑 (小学館の学習百科図鑑 (1)』小学館
(1988)『四季花ごよみ―草木花の歳時記(春) 』講談社
唐沢孝一(1992)『都市鳥ウォッチング』講談社
唐沢孝一,叶内拓哉(1993)『都会の野鳥は夜も飛ぶ』祥伝社
日本鳥類保護連盟 (1987)『バードウォッチング入門―自然と親しむ野鳥観察の手引き』金園社
海老原美夫, 鈴木茂也ほか(2000) 『探鳥地図館 首都圏』小学館
ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』
中西 悟堂 (2004)『鳥を語る』春秋社
小宮 輝之(2010)『鳥あそび』二見書房
叶内拓哉,浜口哲一(1991)『山渓フィールドブックス 野鳥』山と溪谷社

西口親雄(2001)『森林インストラクター 森の動物・昆虫学のすすめ』
今森 光彦(2014)『ときめくチョウ図鑑』山と渓谷社
海野和男(2004)『昆虫の世界へようこそ』筑摩書房
岡島 秀治(2002)『ポケット版 学研の図鑑1 昆虫』
宮内泰介(2013) 『なぜ環境保全はうまくいかないのか』新泉社
田嶋 謙三,神田 リエ(2008)『森と人間 生態系の森、民話の森』朝日新聞社

けやき出版(2015)『たまら・び No.90(最新号)』
けやき出版(2006)『多摩ら・び36』
磯貝 猛 (2003)『奥多摩・奥武蔵―雲取山・三頭山・大岳山・武甲山』山と溪谷社

*ピックアップ&一言感想

散歩が楽しくなる樹の蘊蓄
船越 亮二(2003)『散歩が楽しくなる樹の薀蓄』講談社
街路樹や雑木林の樹木など、身近な樹木の豆知識がかなり多く紹介されています。
図鑑とはちょっと違う視点の知識が楽しく身につけられます。
注意点としては、図鑑のように種類ごとの写真が掲載されているような本ではないので、身近な木の種類はほとんど把握しているくらいの段階でないと楽しみにくいところ。


榎本直樹(1993)『砂川の神社と寺院』立川市教育委員会
これはすごい!
石灯籠などに彫られた銘文もすべて載っています。
石に彫られた文字の劣化を感じることが多く、「読めるうちに誰かがしっかり写真に収めただろうか?文字に起こしただろうか?」と心配になるものが多い。
実際、蚕影神社前の狛犬右側の願主が小川村の人間であることはこの本を読むまで分からなかった。(2016年現在、すでに読みにくくなっている)


都市鳥ウォッチング―平凡な鳥たちの非凡な生活 都会の野鳥は夜も飛ぶ
唐沢孝一(1992)『都市鳥ウォッチング』講談社
唐沢孝一 叶内拓哉(1993) 『都会の野鳥は夜も飛ぶ』祥伝社
都市鳥についての生態学。どちらも唐沢孝一氏の本で、書いてある内容も若干被っている。
易しい内容で、とりあげられている野鳥もほとんどが身近な種類なので、野鳥野鳥初心者でも楽しめます。
『都会の野鳥は夜も飛ぶ』はフルカラーで叶内拓哉氏の写真が大量に掲載されています。そのかわり情報量は少なめ。
『都市鳥ウォッチング』は文章中心。

図説歴史散歩事典 図説民俗探訪事典
井上光貞(1979)『図説歴史散歩事典』山川出版社
大島 暁雄(1983)『図説民俗探訪事典』山川出版社
ポケットサイズでありながら、驚くほどの内容の濃さ。
さらに驚いたのは、かなり古い本でありながら、2016年現在も新品在庫があるというところ。増刷され続けているのでしょう。


増補 玉川上水―水と緑と人間の賛歌
アサヒタウンズ編(1991)『増補 玉川上水―水と緑と人間の賛歌』けやき出版.
昔図書館で借りて、一度読んでいる。古本を見つけて購入。再び読むとまた発見がある。
執筆当時の玉川上水に関するエピソード集。

おすすめ本|ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』

ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』
ピッキオ『鳥のおもしろ私生活』


♪鳥くんの本(『バードウォッチングの楽しみ方』)でおすすめされていたので読んでみました。

タイトルからすると、「文章中心で、いくつかの種類の野鳥おもしろ生態が書かれている本」にも思えますが、ちょっと違います。
サブタイトルに"森の野鳥 観察図鑑"とあるように、もう少し図鑑寄りの内容になっています。

身近で観察できるような野鳥はほぼ全て、50種類以上の野鳥が2ページずつ詳細な生態とともに紹介されています。
全くの初心者が識別目的で使うには写真やイラストが不足していますが、図鑑としての機能も十分に備わっています。

野鳥ごとに「鳴き声」「みつけ方」「生活」が紹介されているのですが、この「生活」が面白い。
初めて知る情報が多くてとても勉強になりました。

「みつけ方」がきちんと書かれているのも貴重。
野鳥観察を始めたばかりの頃は、会いたい野鳥を見つけるためには、どこをどうやって探したらいいのかなかなか分からないはず。

とりあえず一通り読み終えましたが、何度も繰り返し読んで内容を頭に叩き込んでいきたい一冊でした!

おすすめ本|今森 光彦『ときめくチョウ図鑑』

ときめくチョウ図鑑 (Book for Discovery)
今森 光彦『ときめくチョウ図鑑』

多くの大人がそうであるように、私も歳をとるにつれて虫が苦手になってしまいました。

ホタルたちの「光」、秋の虫の「音」に限れば以前から楽しんでいたものの、触るのも触られるのも苦手で、どうしても距離をおいてしまっていました。
しかし、生態系の中で虫もまた野鳥と同様にかなり重要な役割を持っているはずです。

勉強しなくては…と思いつつ、重い腰が上がらず。
きっかけとして読んでみたのがこの『ときめくチョウ図鑑』です。

学術的なテイストの本ではなく、スタイリッシュでカジュアル。
読みやすい図鑑に仕上がっています。

図鑑としては情報量が控えめかもしれませんが、身近なチョウを識別するくらいなら困らなさそうという印象。
種類ごとの解説だけでなく、チョウの基本についての情報のほか、標本作り、撮影法など、初心者向けの記事が盛りだくさん。

まずはこの本を手がかりに勉強していこうと思います。冬の間に。
虫を学ぶ入り口として、まずはチョウから。

玉川上水にも、実は40種類以上のチョウがいるらしい...!!


(撮影 2015年5月) 玉川上水にて
サトキマダラヒカゲ