4月の読書記録

森 昭彦(2011)『うまい雑草、ヤバイ野草 日本人が食べてきた薬草・山菜・猛毒草 魅惑的な植物の見分け方から調理法まで』ソフトバンククリエイティブ
岩崎哲也(2012)『都市の樹木433(ポケット図鑑)』文一総合出版
多田 多恵子(2012)『野に咲く花の生態図鑑』河出書房新社
中山 周平(2001)『野や庭の昆虫(自然観察シリーズ)』小学館
林 弥栄ほか(2003)『樹木 見分けのポイント図鑑』講談社
永田 芳男(1991)『春の野草 (山渓フィールドブックス)』山と溪谷社
高橋 秀男, ネイチャー・プロ編集室 (2010)『知識ゼロからの野草図鑑』幻冬舎

五百澤 日丸,大西 敏一ほか(2014)『決定版 日本の野鳥650』平凡社
叶内 拓哉 (2006)『野鳥と木の実ハンドブック』文一総合出版

只木 良也(1988)『森と人間の文化史』日本放送出版協会
只木 良也(1992)『森林はなぜ必要か』小峰書店
ウィリアム ソウルゼンバーグ(2010)『捕食者なき世界』文藝春秋

高槻 成紀(2006)『野生動物と共存できるか 保全生態学入門』岩波ジュニア新書
南 正人, 高槻 成紀(2010)『野生動物への2つの視点 “虫の目”と“鳥の目”』筑摩書房
高槻 成紀(2016)『タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔』誠文堂新光社
高槻 成紀(2013)『動物を守りたい君へ』岩波書店

林 弥栄ほか(1989)『野に咲く花 (山渓ハンディ図鑑)』山と溪谷社
畔上能力ほか(1996)『山に咲く花 (山渓ハンディ図鑑) 』山と溪谷社

*ピックアップ&一言感想

都市の樹木433 (ポケット図鑑)
都市の樹木433 (ポケット図鑑)
樹木のポケット図鑑としてはいちばんのオススメ。
かなりコンパクトでありながら、すべて葉の写真も掲載されていて、情報量たっぷり。
玉川上水で見られる樹木もほとんどもカバーしていますが、あくまで「都市の樹木」であり「雑木林の樹木」ではないので、わずかに掲載されていないものもあり。


おすすめ本|野に咲く花(山溪ハンディ図鑑)


野に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑) 
野に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑) 


納得のできる図鑑というのはなかなかないものです。

特に野鳥図鑑では、これだ!というものに出会ったことがありません
個人的な希望としては、めったに出会えない種類の掲載は少なくても良いので、基本的な種類の成鳥・幼鳥の写真、オスメス等で違いのある場合はその写真、分布、食生、繁殖期がしっかり掲載されていてほしい!と思うのですが、何かが中途半端になっているものがほとんど。

野草図鑑に関しても同様で、よく見かける植物が意外と掲載されていなかったり、花を付けている時期の写真が一枚掲載されているだけだったり、不便を感じるものが多いのです。

そんな中、決定版とも言える野草図鑑がこれ!
ギリギリポケット図鑑と言えるサイズに、1000種類以上の野草が掲載されています。

もちろん、小さなサイズにそれだけ詰め込んでいるため各植物の情報量に限界はありますが、その絞り方がばっちり。
掲載写真も、見分けるポイントや、肉眼では気が付きにくいポイントが分かるアップ写真が多く、勉強になります。


大きな欠点は値段が高いこと。増補改訂新版は本体4,200円+税。
もちろん「気軽に購入できない」という意味での欠点で、値段相応の価値はあると思います

私は旧版を所持しているのですが、増補改訂新版では近年見直された植物分類も訂正され、かなり見やすくなっているようです。気になる。


兄弟シリーズに、「山に咲く花」があります。
山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑) 
 山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)

ただ、玉川上水周辺で見つかる野草について学ぶ・調べるときには、「野に咲く花」のほうでほぼカバーできるのではないかと思います。

おすすめ本|高槻 成紀『タヌキ学入門』

タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔
高槻 成紀『タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔』

生物としてのタヌキについてだけでなく、タヌキ文化についても学ぶことのできる一冊です。
かなり読みやすく、なにより読んでいて楽しい!

生物についての特別な専門知識がない方でも、読み進めていけると思います。
また、タヌキだけに特別な関心がなくても、動物の生態学入門として十分楽しめるものだと思います。
イラストも多め。タヌキのイラストがとてもかわいい!

終盤には玉川上水のタヌキについてのお話もあり
2008年からその翌年にかけてのタヌキ調査記録も掲載されています。(貴重。)

私自身は「玉川上水に住むタヌキの生態」は全く調べることができていないのですが、玉川上水周辺の村に伝わる昔話を調べていく中でやたらと登場する、キツネ、タヌキ、ムジナのことは気になっていて、記事を書きました。
キツネとムジナにやたらと化かされた多摩の農民

玉川上水と関係のある村は、江戸初期~江戸中期に開拓された、ある意味では歴史の浅い村です。
そのため、昔話には誇張された伝説のような要素が少なく、村のリアルな生活がよく伝わってくるものになっています。


中盤の「タヌキの生態学」はとにかく勉強になる内容です。
タヌキが種子散布をしている可能性というのを、私は完全に忘れていました。
玉川上水の林の中には、あきらかに動物によって(糞によって)種子が運ばれて発芽したように見える植物がたくさん見つかります。
それらをすべて野鳥の仕業だと思い込んでいたのですが...タヌキのような哺乳類の可能性もあるわけですね。
おかしな場所から発芽する植物=野鳥が実を食べている植物、と考えて、リストを作ろうかと思っていたのですが、仕切り直し。

「野鳥観察」は自然観察の入門としてよくおすすめされます。
その理由は、植物とも関係が深いため生態系のつながりを学びやすいこともありますが、人間と生活時間が概ね一致しているため観察しやすいことも大きな理由です。
それに対してタヌキのような動物は、特別な調査をしない限り、その生活ぶりが見えてきません。
だからといって、林の保全を考える時に、タヌキのことを決して忘れてはいけない。そうあらためて、考えさせられました。
観察しやすいものだけに注目していても、見えてこないことがたくさんある!


まだまだ、何度も読み返して、また感想を追記します。

3月の読書記録

東京の川研究会 ほか(2001)『「川」が語る東京―人と川の環境史』
杉本 苑子(1994)『玉川兄弟―江戸上水ものがたり』文春文庫
今森 光彦(2002)『雑木林のコレクション』フレーベル館
高橋敬一(2009)『「自然との共生」というウソ』祥伝社新書.
日本生態系協会 編(2006)『環境を守る最新知識(第2版)』信山社
養父 志乃夫(2006)『ビオトープ再生技術入門―ビオトープ管理士へのいざない』 農山漁村文化協会
ヨーゼフ ブラープ(1997)『ビオトープの基礎知識―野生の生きものを守るためのガイドブック 』日本生態系協会
日本生態系協会 編(2006)『環境を守る最新知識(第2版)』 信山社
公益財団法人日本生態系協会 監修(2016)『改訂版 ビオトープ管理士資格試験公式テキスト』 日本能率協会マネジメントセンター
三島 次郎(1992)『トマトはなぜ赤い―生態学入門』 東洋館出版社

司馬 遼太郎,木村 智哉(2003)『司馬遼太郎が描いた「新撰組」の風景』新潮社
永倉新八(2009)『新撰組顛末記』新人物文庫
子母沢 寛 (1996)『新選組始末記 新選組三部作』中央公論社
山村 竜也(2004])『新選組証言録 『史談会速記録』が語る真実』PHP研究所
日本ペンクラブ 編(2003)『新選組読本』光文社
壬生狼友の会(1999)『新選組468隊士大名鑑』駿台曜曜社


青木 登(2000)『多摩・武蔵野 花の歳時記』のんぶる舎
山下 喜一郎 ほか(2003)『武蔵野花名所』けやき出版
けやき出版 編(1999)『多摩 水べのあるくマップ―川・湖・池・滝・泉のほとり54コース』けやき出版
けやき出版 編(1994)『最新 多摩あるくマップ』 けやき出版
重信秀年(2013)『『江戸名所図会』でたずねる多摩』けやき出版
東京地図研究社(2005)『地べたで再発見!『東京』の凸凹地図』技術評論社 
加藤 剛 監修(2004)『東京ぶらり散歩道 東京都設定「歴史と文化の散歩道」を歩こう』双葉社 
江戸歴史散歩愛好会(2009)『東京・江戸散歩おすすめ25コース−鬼平の舞台から新選組ゆかりの地まで−』PHP研究所

(2013)『るるぶ高尾山』ジェイティビィパブリッシング

河出書房新社編集部 編(1999)『図説徳川家康』河出書房新社



3月前半は久しぶりに新選組関連の本を多く読む。
その他けやき出版の本をいくつか購入。
後半はビオトープ関連を多めに。ぜんぶ頭に叩き込みます。

玉川上水と新選組。直接の関係はほとんどありませんが、「多摩の風土・価値観の形成」という視点で考えた時、意外なほどつながりがあります。
そのため、例えば、大石学さんの『新選組 「最後の武士」の実像』の中にも「神田上水と玉川上水」についての記述があったりします。

けやき出版は多摩地域の歴史・民俗・自然関係の本を多く出版している会社です。いろいろと調べ物をしていく中で、かなりお世話になっています。

*ピックアップ&一言感想

地べたで再発見! 「東京」の凸凹地図
東京地図研究社(2005)『地べたで再発見!『東京』の凸凹地図』技術評論社

何度も図書館で借りたりして読んでいたこの本をやっと購入。
目玉の「地図が立体に見える3Dメガネ」は個人的にはやや微妙。
ただ、東京の地学を学ぶ一歩目として、とても分かりやすい内容になっています。オススメ。


玉川兄弟
文春文庫『玉川兄弟―江戸上水ものがたり』(1994)

もちろん過去に読み終わっているのですが、文庫版を今回購入。
文春文庫版には「江戸上水ものがたり」のサブタイトルが付いています。
フィクションでありながら、玉川上水を語る上では基本中の基本ともいえる一冊だと思います。
東京都水道局の制作した広報用のアニメ『玉川兄弟』は、こちらも小説を原作としています。