玉川上水野鳥カレンダー

※2018/1/16 さらに追記と訂正
※2016/3/23 さらに追記と訂正
※2016/2/29 さらに追記
※2016/2/4 さらに追記
※2016/1/31 微妙に追記と訂正

概要

厳密に、◯◯橋〜◯◯橋までと範囲を定めた調査結果ではなく、主に上流域〜中流域の雑木林エリアで見られる野鳥のイメージをリストにしました。

玉川上水の野鳥

クリックすると拡大します。

その他の記録

年によって当たりハズレの大きい種

イカルマヒワアトリキクイタダキあたりが年によって「当たり鳥」となりやすい。(すべて冬鳥。)
2015年度はイカル、キクイタダキの当たり年
2016年度はアトリの当たり年
どちらも関東全域で多かった。
2017年度はこれといった当たりはなさそう

記録の少ない野鳥

アカゲラ、ミソサザイ、ノスリ、チョウゲンボウ、ソウシチョウ、トラツグミ、アオバズク、フクロウ、コジュケイ、ヒガラ、アカハラ、ホトトギス、カケス
チュウサギは、目撃例があるものの、ダイサギとの勘違いの可能性がある。

周辺で見られるが、玉川上水林内には少ない野鳥

スズメ、ツバメ、セグロセキレイ、コガモ、ヒバリ、カワウなど
カワウは普通に水路で見られる時期もあった。
スズメやツバメ(夏鳥)は周辺でかなり普通に見られるものの、林内では見かけにくい。セグロセキレイ、コガモは交差する河川などで見られる。偶然水路で見かけることがあってもおかしくはない。

過去に記録があるものの、今では見られない野鳥

ジュウイチ、チゴモズ、アカモズ、キレンジャク、ヒレンジャク コルリ、サンショウクイ、コイカル


・アサヒタウンズ編(1991)『増補 玉川上水―水と緑と人間の賛歌』けやき出版.より
「玉川上水近辺で戦前見られた鳥」とされていて、現在見ることができないと思われる鳥
  • オオヨシキリ
  • コヨシキリ
  • コルリ
  • ヨタカ
  • ヨシゴイ
  • ウズラ
  • (ヒガラ)
  • (マヒワ)
※ヒガラ、マヒワはもしかしたらまだ見かけることがあるかも。
※ウズラは、玉川上水に限らず「昔はよく見かけた」という話をよく聞きます。コジュケイと混同している可能性もあり。現在はウズラがウロウロできるような環境がない。

記事内で「現在(昭和62年時点)も見られる鳥」「数が少ないが見られる鳥」とされているが、現在ほぼ見ることができないと思われる鳥
  • ウソ
  • チゴモズ
  • キレンジャク
  • ヒレンジャク
  • コイカル
  • コガラ
  • サンショウクイ
  • ツツドリ
  • フクロウ
※フクロウ、ウソ、ツツドリはわずかに目撃情報あり
※キレンジャク、ヒレンジャクは当たりハズレが激しいので、もしかしたら今後見られる年はあるのかも。


・『玉川上水の自然保護を考える会 活動報告書』より
「宮の橋付近で見られた鳥(1991年当時)」のうち、現在そのあたりではあまり見られない、もしくは全く見られない鳥
  • コジュケイ
  • ジュウイチ
  • チゴモズ
  • コルリ
  • アカモズ
  • キレンジャク
  • ヒガラ
  • カケス
  • アカハラ
※ジュウイチが見られたというのは驚き。コルリ、アカモズ、チゴモズは近年目撃情報を聞いたことがない。
※コジュケイ、ヒガラ、アカハラは場所によっては今でも目撃例あり。記録は少ない。

玉川上水 名前の由来は?

「玉川上水」の名前の由来について。

玉川=多摩川?

とってもシンプルに、「多摩川」から引かれた「上水」だから、ということで間違いないと思います。*1

ではなぜ、「多摩川上水」表記ではないのか。
これも、単に漢字表記のゆれと考えてよさそうです。

現在の「多摩川」も、江戸時代の文献では「玉川」表記になっていることがあります
逆に、明治期の記録でも「多摩川上水」という表記が見つかることもあります。

そもそも、地名や人名に「正しい漢字がある、正しい表記がある」と考えるのは現代人の発想。
現代社会では業務上、管理上の都合などで、表記がぶれぶれでは困ってしまいますが、大昔の人名、地名の漢字表記はかなり自由なものだったようです。


まれに、「玉川兄弟がつくったので玉川上水と名付けられた」というガセが見られますが、順序が違います。玉川上水開削の功績が認められて、庄右衛門・清右衛門兄弟に玉川姓が与えられたのです。


↑玉川上水のことをやさしく勉強したいならこれを読めば間違いなし!
玉川上水―親と子の歴史散歩 (多摩郷土文庫)



飲み水を江戸まで運んだ水路

さて、「上水」のほうですが、生活排水ではなく飲み水として使える水=上水を江戸まで運んだ水路という意味です。
「上水路」や「上水道」のほうが正しい感じもしますが、慣例的に「上水」だけで水路そのものを意味するようになっています。(神田上水千川上水なども同様。)


現在でも、羽村から小平監視所までは飲水を運ぶ現役の水路として使われていることは、意外と知られていないのかもしれません。もちろん、玉川上水に関心を持っている方はみな知っていることですが...



玉川上水 武蔵野 ふしぎ散歩



*1 断定できないのは、「多摩川から水を取り入れたので玉川上水と名付けた」とする資料がないと思われるためです。当たり前すぎてわざわざ記録に残していない可能性が。一応調査中です。

見沼たんぼと玉川上水

玉川上水ネットの集まりで、見沼たんぼについての講演を聞く機会がありました。



見沼たんぼは第6回プロジェクト未来遺産に登録されています。
「埼玉県川口市からさいたま市の市街地の東側に広がる1,260ヘクタールの田園地域と、その周辺に広がる大規模な田園緑地。」

玉川上水との共通点もいくつかあり、その保全活動のあり方はたいへん興味深いものでした。

見沼たんぼのことは、以前から気になっていました。
私が今年度資格を取得した、江戸文化歴史検定2級。その公式テキストで、見沼たんぼが大きく取り上げられていたためです。

さて、玉川上水との共通点ですが、まずはどちらも江戸時代初期に伊奈忠治が関わっていること。
治水といえば伊奈忠治
もうひとつの共通点は、享保の新田開発で周囲が大きく発達を遂げたことです。


ただ、今回のお話を聞いて、現在の保全活動のあり方が玉川上水と大きく異なっている点がありました。
玉川上水は2003年に国の史跡に指定されるような段階まで進んでいるものの、その保全活動は水路とその脇のごく狭い緑道部分に限定されてしまっています
見沼たんぼにおける玉川上水に相当する部分は「見沼代用水」です。しかし、用水部分に限らず、広く周囲の田んぼも含めた保全活動が進められています。これがすごい。




近年、玉川上水周辺の宅地化はさらに進んでいます
問題は畑地が建物に変わってしまうこと。生産緑地に指定されている畑もありますが、そうではない部分は着実に住宅に変わりつつあります。
これが野鳥をはじめとする野生動物の生態に与える影響はとても大きい。周囲に畑地がある上で、玉川上水の林と水場があるから生息している生き物がたくさんいます

とはいっても、周囲の土地はあくまで土地所有者のものですから、基本的には外部の人間には止める権利もなにもありません。
それに「良い環境の良い家に住みたい!」という欲求がどこかにあれば、潜在的に開発に加担しているようなものだと私は考えます。なんでもかんでも「宅地化反対」するのはどうしても矛盾が出てきてしまうと思うのです。

ただ、「玉川上水とその分水網」をなんらかの保全プロジェクトに巻き込むことができて、周囲の農家に対し、宅地化するよりも緑地を残すほうがお得な方法を示すことができれば、いろいろな可能性があるかも!というのが今回得たヒント。まだまだ具体的な案はまったく定まりませんが。

あせらずゆったり急いで、自然の勉強、保全の勉強を続けましょう!

3月の花だより

玉川上水で見られる野草、山野草、雑草、樹木、花をご紹介!

まだ日付は2月ですが、もうあとわずかで3月。ということで「 3月」の花だよりとして紹介していきます。


オオアラセイトウ(大紫羅欄花)の花
ハナダイコンやショカッサイ、ムラサキハナナといった呼び方のほうが知られているのかも。
ちょいと早めの開花です。しばらく経つと法面がこの花でいっぱいになります。


夕日を浴びる桜。
数カ所で見られる品種で、葉と同時に薄紅色の花が咲くタイプ。河津桜の近縁種なのは間違いないと思いますが、桜の種を断定することはとても難しい!



ニワトコ(接骨木)の冬芽と新芽
芽が開いてきて春らしい雰囲気に。
新芽はてんぷらにして食べられます!


ラッパスイセンと呼んでいるような種類でしょうか。
スイセンの園芸品種。あまり歓迎はできませんが、きれいな花です。
どうやってここに咲いたのか興味あり。とりあえず記録しておくことは大事。

 
タンポポ(蒲公英)の花
総苞片が反り返っていません。在来種タンポポかも!と思ったので記録。
タンポポの識別はまだできないので、勉強します。


カラスノエンドウ(烏野豌豆)の花
玉川上水周辺で。ヤハズエンドウ(矢筈豌豆)とも。
この植物の名前をド忘れてしていたため、復習のために掲載。

*以下、3月3日追記


クサボケ(草木瓜)
にょきにょきと。つぼみも見えます。
場所によってはすでに花が咲いています。


早咲き品種の桜はそろそろ見頃過ぎ。花びらはかなり落ちてしまっています。
そして新しい葉が。
昨年はもうちょっとしっかり花が残った状態で葉が出てきていた気がするのですが...



アセビ(馬酔木)の果実とつぼみ
もう少しで咲きそう!


マユミ(真弓)の冬芽
冬芽、というより新芽。開いてきました!


イヌシデ(犬四手)の冬芽
密度が高く、遠くからでもなかなか目立つイヌシデの冬芽。


クロッカスの花
あちこちで咲いてしまっているのを見かけるこの花。
まとまって咲いている場所を小平で発見。ここから広がってしまったのでしょうね。


ヒメオドリコソウ(姫踊子草)
どこでも見られる雑草。春に開花。
本家オドリコソウは生息地が減りつつあるのに対して、こちらは分布が広がっていく帰化種。


ハルジオン(春紫菀)の花
玉川上水でも咲き始めました。好みの分かれる外来種。
際限なく増えてしまうことや「貧乏草」の別名もあることからあまり好まない人もいますが、「花自体はかわいい」と愛でる人もいます。


ホトケノザ(仏の座)の花
春の七草のホトケノザとは別の植物。これを食べてもおいしくないでしょう。