見沼たんぼと玉川上水

玉川上水ネットの集まりで、見沼たんぼについての講演を聞く機会がありました。



見沼たんぼは第6回プロジェクト未来遺産に登録されています。
「埼玉県川口市からさいたま市の市街地の東側に広がる1,260ヘクタールの田園地域と、その周辺に広がる大規模な田園緑地。」

玉川上水との共通点もいくつかあり、その保全活動のあり方はたいへん興味深いものでした。

見沼たんぼのことは、以前から気になっていました。
私が今年度資格を取得した、江戸文化歴史検定2級。その公式テキストで、見沼たんぼが大きく取り上げられていたためです。

さて、玉川上水との共通点ですが、まずはどちらも江戸時代初期に伊奈忠治が関わっていること。
治水といえば伊奈忠治
もうひとつの共通点は、享保の新田開発で周囲が大きく発達を遂げたことです。


ただ、今回のお話を聞いて、現在の保全活動のあり方が玉川上水と大きく異なっている点がありました。
玉川上水は2003年に国の史跡に指定されるような段階まで進んでいるものの、その保全活動は水路とその脇のごく狭い緑道部分に限定されてしまっています
見沼たんぼにおける玉川上水に相当する部分は「見沼代用水」です。しかし、用水部分に限らず、広く周囲の田んぼも含めた保全活動が進められています。これがすごい。




近年、玉川上水周辺の宅地化はさらに進んでいます
問題は畑地が建物に変わってしまうこと。生産緑地に指定されている畑もありますが、そうではない部分は着実に住宅に変わりつつあります。
これが野鳥をはじめとする野生動物の生態に与える影響はとても大きい。周囲に畑地がある上で、玉川上水の林と水場があるから生息している生き物がたくさんいます

とはいっても、周囲の土地はあくまで土地所有者のものですから、基本的には外部の人間には止める権利もなにもありません。
それに「良い環境の良い家に住みたい!」という欲求がどこかにあれば、潜在的に開発に加担しているようなものだと私は考えます。なんでもかんでも「宅地化反対」するのはどうしても矛盾が出てきてしまうと思うのです。

ただ、「玉川上水とその分水網」をなんらかの保全プロジェクトに巻き込むことができて、周囲の農家に対し、宅地化するよりも緑地を残すほうがお得な方法を示すことができれば、いろいろな可能性があるかも!というのが今回得たヒント。まだまだ具体的な案はまったく定まりませんが。

あせらずゆったり急いで、自然の勉強、保全の勉強を続けましょう!