玉川上水 冬の夜の昆虫たち その2

その1はこちら。
玉川上水 冬の夜の昆虫たち

昆虫の少ない時期?そんなことありません。
夜の玉川上水を散策していると、たくさんの虫が見つかります。


ヒロバフユエダシャクのメス。
退化しているとはいえ、立派でかわいらしい翅を持っています。


クチキムシ。オオクチキムシかな。
夏には基本的に毎日見られた昆虫。冬は朽木の中や樹皮の裏で越冬しているはず。
この日は暖かったからなのか、外を歩き回っていました。


未同定カメムシ。ツノカメムシの仲間でしょうね。


クサカゲロウ。かなり暖かかった2月17日の夜。
自由に飛び回っていました。


未同定クモ1。


未同定クモ2。写真では見づらいけど網をしっかり張っています。


未同定クモ3。



クロテンフユシャクのオス!


冬の昆虫探しは楽しい!

玉川上水 冬の夜の昆虫たち

帰り道。
夜の玉川上水を歩いていたら、意外と虫が見つかる見つかる。
虫探しのスイッチが入ってしまって、寒さも忘れ、ひたすらムシムシ。


アカボシゴマダラ幼虫。
やや例外的に(もう珍しくもないのかも)、成木の樹皮で越冬しています。


ハエ・アブの仲間、未同定。


ウシカメムシ
まだまだときどき見つかります。
樹皮の隙間なんかで越冬すると思うのですが、なぜか表に出てきていました。


ヨスジノコメキリガ。ふっかふか!
4つの筋、翅の縁が鋸目(ノコギリ状)のキリガの仲間。


おそらくウスキホシテントウ
ムツキボシテントウと似ていてややこしい。
見た時にはヒメカメノコテントウだと思い込んでいました。


ヒロバフユエダシャクのオスでしょう。
フユシャクの仲間。

寒さの問題もあり、真冬に夜の観察会を開くのは難しいのですが、意外に楽しいこの時間帯の虫探し。
神経が研ぎ澄まされるのか、昼間よりも色々見つかります。
フユシャクの仲間は夜に活発に動く場合もありますし。


東大和南公園で越冬昆虫を探す

1月29日(日)、少し時間があったので、久しぶりに東大和南公園を散策しました。
東大和南公園は、玉川上水駅より北東方向へ広がる公園です。
なかなかの広さではあるのですが、陸上競技やテニスなど、スポーツをしやすい方向へしっかり整備されているので、自然環境としてはあまり期待できないと思っていた公園でした。

ところが、この日に越冬昆虫を探してみると意外な発見が
    

ソメイヨシノやイチョウ、シデコブシなど、「公園の樹木」という感じの樹が多いものの、コナラ、クヌギ、エゴノキなど武蔵野の雑木林で見られる樹木もある程度植えられています
そのコナラ、クヌギをあちこち探してみると・・・


ものすごい数のクヌギカメムシの卵
多い場所では、一本の樹に80箇所以上も産み付けられていました。

  
色をつけた部分が、卵のある場所。

玉川上水沿いでは「じっくり探すと見つかる」という感じだったクヌギカメムシの卵が、ここでは比べ物にならないほど簡単に見つかります。
この違いはなんなのでしょうか。


樹名板は昆虫にとって絶好の越冬場所です。
見つけたらとりあえずそっとめくってみる。すると…



たくさんのクモ類やキマダラカメムシが見つかりました。


同定できていないクモが多いのですが、キハダエビグモアリグモは発見。写真はアリグモ。

こちらはハエトリグモの仲間かな。

ソメイヨシノの樹名板をめくるときは要注意。
ヨコヅナサシガメの集団が越冬している場合があります。
写真の掲載は控えますが、この日も50〜60ほどの集団が見つかりました。うじゃうじゃ。



玉川上水林内ではあまり見つからなかったテントウムシとして、ヒメカメノコテントウヒメアカホシテントウも見つかりました。
ヒメカメノコテントウは玉川上水でも夏に少しだけ見たことがあります。どちらかといえば宅地の花壇など、都市環境で見つかりやすい昆虫のため、こちらの公園で多く見つかったのだと思います。


何かの空繭。ヒロヘリアオイラガかな。
抜け出した後の繭ならばほぼ大丈夫なのですが、一応毒棘が付いている可能性があり、ほんの少し注意。


他にもユキムシの集団を発見。また、クヌギカメムシの卵が樹名板の裏に多数産み付けられていたパターンもありました。

また、やはり玉川上水林内では見つからなかった昆虫がこちら。
   
オオミノガだと思います。
かなり小さいサイズで越冬するチャミノガは玉川上水でもかなりの数が見られます。が、オオミノガは見つかりません。
この公園では全く珍しくないようで、あちこちの樹でこのオオミノガが見られました。
4〜5cmほど、大きいサイズで越冬します。

思ったよりも数多くの越冬昆虫が見られた。東大和南公園。
玉川上水にはかなり距離が近く、ある程度の移動能力を持つ昆虫ならば、行き来することもあるかもしれません。(線路によって隔てられてはいますが…)
玉川上水とあわせて、うまく生き物たちの居場所として機能してくれたらいいなと思います。

※この日東大和南公園で見られた野鳥
ムクドリ、ヒヨドリ、シジュウカラ、メジロ、エナガ、キジバト
ツグミ、シロハラ、アトリ


生々しい機銃掃射の跡が残る旧日立航空機立川工場変電所。
こちらも東大和南公園の中に残されています。詳しい紹介はまた別の機会に。


ロウバイ(ソシンロウバイ)の花も見頃でした!

越冬するトホシテントウの幼虫

木の幹にくっついていました。
このトゲトゲの物体。 なんでしょうか。


ふっさふさのトゲ部分を無視すれば、テントウムシの幼虫に似ています。

ナナホシテントウ幼虫 (撮影 2016年5月)

よく調べてみると、このトゲトゲの虫はトホシテントウの幼虫でした。

テントウムシは成虫で越冬するイメージがあります。
実際、冬に木の幹や石の隙間を探すと、身を潜めている成虫がよく見つかります。

こちらはキイロテントウ成虫。



ところがトホシテントウは、テントウムシの仲間には珍しく、幼虫の状態で越冬するようなのです。
不思議!

写真をよく見ると、何頭か共通しておがくずのようなものがついています。
同じ場所からみんなで移動してきたのでしょうか。


シルエットがおもしろい。

しかし意外と風通しの良い場所にくっついてしまっています。
寒くないのでしょうか。


 トホシテントウ成虫(撮影 2016年5月)

今年度に成虫も何度か玉川上水で見かけています。
ナミテントウ、ナナホシテントウなどよく見かけるテントウムシと違い、背中に生えている毛が目立ちます。
その分、光沢は少なめ。
また、アブラムシを食べるナミテントウたちと違い、植物の葉っぱを食べます。(幼虫も同様。)