4月の花だより その2

玉川上水で見られる野草、山野草、雑草、樹木、花をご紹介!


4月の花だより その1はこちら


今日(4月10日)は高槻成紀先生の自然観察会が開かれました。
その中でたくさんの気になる植物を発見。



ウラシマソウの花。玉川上水の数カ所で見つかりますが、ここでは3つ同時に開花。
釣り竿と釣り糸がにょきにょきと。

ウラシマソウの中身。
テンナンショウ属の仲間は性転換をすることも特徴です。
これは雄花。


チゴユリの花。清楚でかわいらしい花です。
下向きに花をつけるため、寄ってくる虫が限られています。


チゴユリの群落。


マサキ。つぼみが見えます。
玉川上水にはあまり多くない樹木。


スイカズラの葉。上は深裂しているタイプ。
通常は下の楕円形。


モミジの花は小さい。


アケビの葉と花。
葉は複葉です。5枚。掌状複葉。
実のイメージが強いアケビですが、花もきれいなんですね。
玉川上水で咲いているのに気付いたのは今年が初めて。


こちらはミツバアケビの葉。


 
ムラサキケマンの果実。
触ると思いっきり弾けます!写真では伝えにくいのですが。
弾けるときに、電気にも似たビリっとという刺激があり、びっくりします。


ウツギの花。エゴノキの花にも似ているのですが、花期はこちらが早め。
また、玉川上水で一番多いかもしれないエゴノキに対して、ウツギの本数は少なめ。


クヌギの新しい葉。若々しい。みずみずしい。
小さいながらも葉脈はハッキリしているので、なんだか情報量が多い印象に。詰まっている。


キブシの花。玉川上水にキブシがあるとは知らなかった。


ガマズミのつぼみ。
ニワトコ等と同様、ブロッコリーのような。


ヤツデの果実が熟すのはこんな時期。


キバナオドリコソウ。オドリコソウは林に咲くとてもきれいな花ですが、こちらは園芸種。
誰かが植えたものが増えているのでしょう。


ジュウニヒトエの仲間。これだけ紫色がハッキリしているものはおそらく園芸種。


ソメイヨシノの見頃も終わりに近づく。
小平監視所には大量の花びらが集まります。


アセビの新芽。なんだか花のようにきれい。


ノボロギクの花。
これで咲いています。すぼんでいるような花。
実際はすぼんでいるのではなく、他のキク科の仲間のような舌状花が外側にないため、地味な花となっている。


カマツカのつぼみ。


コゴメウツギ。つぼみ。

おすすめ本|野に咲く花(山溪ハンディ図鑑)


野に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑) 
野に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑) 


納得のできる図鑑というのはなかなかないものです。

特に野鳥図鑑では、これだ!というものに出会ったことがありません
個人的な希望としては、めったに出会えない種類の掲載は少なくても良いので、基本的な種類の成鳥・幼鳥の写真、オスメス等で違いのある場合はその写真、分布、食生、繁殖期がしっかり掲載されていてほしい!と思うのですが、何かが中途半端になっているものがほとんど。

野草図鑑に関しても同様で、よく見かける植物が意外と掲載されていなかったり、花を付けている時期の写真が一枚掲載されているだけだったり、不便を感じるものが多いのです。

そんな中、決定版とも言える野草図鑑がこれ!
ギリギリポケット図鑑と言えるサイズに、1000種類以上の野草が掲載されています。

もちろん、小さなサイズにそれだけ詰め込んでいるため各植物の情報量に限界はありますが、その絞り方がばっちり。
掲載写真も、見分けるポイントや、肉眼では気が付きにくいポイントが分かるアップ写真が多く、勉強になります。


大きな欠点は値段が高いこと。増補改訂新版は本体4,200円+税。
もちろん「気軽に購入できない」という意味での欠点で、値段相応の価値はあると思います

私は旧版を所持しているのですが、増補改訂新版では近年見直された植物分類も訂正され、かなり見やすくなっているようです。気になる。


兄弟シリーズに、「山に咲く花」があります。
山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑) 
 山に咲く花 増補改訂新版 (山溪ハンディ図鑑)

ただ、玉川上水周辺で見つかる野草について学ぶ・調べるときには、「野に咲く花」のほうでほぼカバーできるのではないかと思います。

2016年 玉川上水の桜

花見を楽しむことが難しい年でした!

3/21(月) 晴れ 開花日
* * *
3/29(火) 曇り 満開予想日
実際はまだまだ
3/30(水) 曇り
3/31(木) 晴れ
4/1(金) 曇り ほぼ満開
4/2(土) 曇り
4/3(日) 曇り/小雨
4/4(月) 曇り
4/5(火) 曇り/小雨 少し散る
4/6(水) 晴れ 見頃〜やや見頃過ぎ
4/7(木) かなりの花が散る

開花日以降あまり気温の上がらない日が続き、思ったよりも開花が進まなかった今年。
それでもいよいよ満開!というタイミングの4/1頃から曇り続き。
多くの方が4/2〜4/3の土日で花見を楽しんだものの、かなり残念な天気でした。
唯一「青空とソメイヨシノ」の写真を撮ることができたのは4/6。太陽のありがたみを感じた一日でした。

さて、玉川上水とその周辺には桜の名所がいくつもあります。
・取水堰のある羽村(言わずと知れた名所。ほぼソメイヨシノ。)
・拝島駅周辺の玉川上水(主に下流側。)
・西武立川駅から南の暗渠部分(流れの上にソメイヨシノが多く植えられている。)
・立川市内 見影橋周辺(サトザクラも多い。)
・玉川上水駅付近(少ないが、駅からすぐなので人気。)
・小金井公園(品種も豊富、大規模。静かに楽しめる。)
・小金井公園周辺の玉川上水(桜は衰えている。元祖名勝小金井桜。)
・井の頭公園
・杉並区の玉川上水公園(流れは楽しめない。)
・新宿御苑

さすがに一日で全部は回れませんが、いくつか写真を撮ってきました。


金比羅橋付近。


見影橋周辺。


残堀川。


西武立川駅近く。



小金井公園。



 
小金井公園周辺の玉川上水。


玉川上水駅付近。

おすすめ本|高槻 成紀『タヌキ学入門』

タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔
高槻 成紀『タヌキ学入門: かちかち山から3.11まで 身近な野生動物の意外な素顔』

生物としてのタヌキについてだけでなく、タヌキ文化についても学ぶことのできる一冊です。
かなり読みやすく、なにより読んでいて楽しい!

生物についての特別な専門知識がない方でも、読み進めていけると思います。
また、タヌキだけに特別な関心がなくても、動物の生態学入門として十分楽しめるものだと思います。
イラストも多め。タヌキのイラストがとてもかわいい!

終盤には玉川上水のタヌキについてのお話もあり
2008年からその翌年にかけてのタヌキ調査記録も掲載されています。(貴重。)

私自身は「玉川上水に住むタヌキの生態」は全く調べることができていないのですが、玉川上水周辺の村に伝わる昔話を調べていく中でやたらと登場する、キツネ、タヌキ、ムジナのことは気になっていて、記事を書きました。
キツネとムジナにやたらと化かされた多摩の農民

玉川上水と関係のある村は、江戸初期~江戸中期に開拓された、ある意味では歴史の浅い村です。
そのため、昔話には誇張された伝説のような要素が少なく、村のリアルな生活がよく伝わってくるものになっています。


中盤の「タヌキの生態学」はとにかく勉強になる内容です。
タヌキが種子散布をしている可能性というのを、私は完全に忘れていました。
玉川上水の林の中には、あきらかに動物によって(糞によって)種子が運ばれて発芽したように見える植物がたくさん見つかります。
それらをすべて野鳥の仕業だと思い込んでいたのですが...タヌキのような哺乳類の可能性もあるわけですね。
おかしな場所から発芽する植物=野鳥が実を食べている植物、と考えて、リストを作ろうかと思っていたのですが、仕切り直し。

「野鳥観察」は自然観察の入門としてよくおすすめされます。
その理由は、植物とも関係が深いため生態系のつながりを学びやすいこともありますが、人間と生活時間が概ね一致しているため観察しやすいことも大きな理由です。
それに対してタヌキのような動物は、特別な調査をしない限り、その生活ぶりが見えてきません。
だからといって、林の保全を考える時に、タヌキのことを決して忘れてはいけない。そうあらためて、考えさせられました。
観察しやすいものだけに注目していても、見えてこないことがたくさんある!


まだまだ、何度も読み返して、また感想を追記します。