イチモンジチョウ

久しぶりにイチモンジチョウに出会いました。
特に珍しい蝶ではないはず。
出会った回数がいまのところ少ないのは単なる調査不足だと思っています。

タテハチョウ科。翅の表側には一本の目立つ白帯があります。
コミスジなどミスジチョウの仲間とは似ていますが、識別は簡単。


表。


(撮影 2016年 8月 福生市内)
こちらは裏側。
タテハチョウらしい模様。きれいですね!



(撮影 2016年 5月 立川市内)
こちらは5月に出会った大きめの個体。
ちょうどこの時に出会ったのが1回目の発生、今回出会ったのが2回目の発生だと思います。

アサマイチモンジというそっくりな別種もいます。
こちらも玉川上水に生息しているのかは調査が必要。

アオハダ

玉川上水で見つかる樹木を一種ごとに紹介するためのカテゴリ、「玉川上水の樹木」をつくりました。

最初の一種は、いきなりややマニアック(?)なアオハダ。
玉川上水では一本しか見たことがありません。

・モチノキ科
・雌雄異株
・小高木〜高木
・葉は不分裂葉で互生する
・鋸歯縁(流れるような低い鋸歯)


玉川上水で見られるものは、すでに成木。
際立った特徴があるわけでもないので、このアオハダの存在に気がついていない人も多いのかもしれません。


アオハダの葉
左端は若い葉。
細長くはない楕円系。先端は尖る。
葉脈がはっきりと凹んでいるのも特徴。


伸びた枝ではかなり分かりやすく互生する。
短枝では束生し、輪生のように見えてしまうこともある。


アオハダの樹皮
樹皮はやや明るい灰色。
樹皮を見ただけで判断することは難しいが、樹皮の表面を削ると緑色の肌が見える。(種名の由来。)




雨に濡れるとかなり印象が変わる。


本来はモチノキ科らしい赤い実をたくさんつける。
雌雄異株であり、玉川上水でこのアオハダの付近には他の株がないため、実をつけることはない。

玉川上水の樹木


 コナラ、クヌギを中心とした雑木林や桜並木が続く玉川上水緑道。落葉広葉樹が中心となっていて、季節ごとに様々な姿が見られます。春には桜のほか、エゴノキ、ウツギ、ミズキなど白く爽やかな花がふんわりと香ります。初夏にはネムノキやムラサキシブの花も咲き始め、鮮やかに。真夏に咲く花は少ないのですが、水の流れと樹木の日陰によって、市街地よりもずいぶん涼しく散策を楽しめます。

5月頃に美しい花をつけるエゴノキ


ネムノキの花は6月頃開花

関連記事→玉川上水の一年
関連記事→玉川上水の一年(アニメーション版)




玉川上水の樹木相

◆かなり多く見られる高木(林の中心となっている種)
・落葉樹
コナラ、クヌギ
ケヤキ、エノキ、ムクノキ、イヌシデ

・常緑樹
シラカシ


◆やや多く見られる小高木〜高木
・落葉樹
エゴノキ、クワ、ヤマグワ
コブシ、ヤマザクラ、ミズキ、ニガキ、クリ
マユミ、ニシキギ(コマユミ)、カマツカ、
ムラサキシキブ、マルバウツギ、コゴメウツギ、
クマシデ、アカシデ、ゴンズイ
ガマズミ、ニワトコ、サンショウ、ヌルデ
ヤマコウバシ、ウグイスカグラ
イロハモミジ、トウカエデ

・常緑樹
アラカシ、マテバシイ、シロダモ
チャノキ、ヤブツバキ


◆時々見られる小高木〜高木
・落葉樹
ツリバナ、イヌザクラ、ウワミズザクラ、
ヤマウコギ、ニセアカシア、ガクウツギ、ウツギ
コウゾ、ニワウルシ、サワフタギ、イボタノキ
ネムノキ、イチョウ、トチノキ、ヒトツバハギ
ヤマハギ、タラノキ、モチノキ、アベリア、クサギ
タマアジサイ、植栽のアジサイ類、ミカン類

・常緑樹
イヌツゲ、マサキ、クスノキ、ユズリハ
ビワ、クチナシ、ナツグミ、マンリョウ
ヒサカキ、カクレミノ

・針葉樹
アカマツ、カヤ、イチイ、ヒノキ、サワラ


◆数が限られている樹木
サンゴジュ、キリ、アオギリ、ハマビワ
アオハダ、リョウブ、センダン、ナラガシワ?
クロモジ、ハクウンボク、アワブキ、キブシ
アメリカスズカケノキ、ケンポナシ、カジイチゴ
キウイフルーツ、シラカバ、ゲッケイジュ、モッコク、ウメ
アカメガシワ、ソヨゴ、ハンノキ、カリン
ケヤマハンノキ、イヌビワ、アキニレ、シマトネリコ
※植栽と思われるもの、民家の庭木からの実生などが多い


◆手入れ不足だと増えてくる常緑低木〜小高木
アオキ、ヤツデ、シュロ
ネズミモチ、トウネズミモチ



◯個人的に(玉川上水に生えていることが)興味深い樹木
・ケヤキ
街路樹や公園の樹木としてお馴染み過ぎるために珍しくもない樹木なんですが、本来は渓畔林に自生するもの。武蔵野の屋敷林として植えていて、さらに水路のある玉川上水の環境には合っていたためにかなり増えている。斜面の水際ギリギリなど、他の樹木が育ちにくい場所からもぐんぐん伸びてきて、ときにやっかいもの。

・クワ、ヤマグワ
かつて玉川上水沿いで養蚕がかなり盛んに行われていた証です。実生で増えたものが一定数残っているということでしょう。

・チャノキ
砂川(立川市内)、小川(小平市内)でも狭山茶を生産していた時期があります。また、武蔵野ではある時期に畑をチャノキで囲うことが定番になりました。今での多くの畑で見られます。そこから林まで広がったのでしょう。

・ミズキ、クマシデなど
平地の雑木林でもそれほど珍しいわけではないのですが「山地や谷沿いに自生する」とされることの多い樹木が玉川上水でよく見られます。草本も同様。

・ニガキ
これも特別珍しい樹木ではないが、立川市内にニガキの成木が多いエリアがある。「ニガキの多い林」はわりと個性的。ただ、特にニガキの葉を好むような虫、ニガキの実を好むような鳥はいないようで、ここだけで見られる生き物というのはいない。

玉川上水の紅葉


 コナラ、クヌギ以外にも、ヤマザクラにケヤキ、ムクノキ、エノキ、コブシなど、紅葉(黄葉)を楽しめる樹木は多い。特にクヌギの葉の輝きは美しいものです。また、多くはないものの、イロハモミジやトウカエデなど、カエデ類の紅葉も見られます。ヤマコウバシなど春まで樹木の葉が残る種類もいくつか。

 紅葉よりももう少し早い時期から、どんぐり拾いも楽しめます。コナラ、クヌギ以外にも、シラカシ、マテバシイなどのどんぐりが見つかり、豊作年には遊歩道がどんぐりで埋め尽くされます。



老齢化が進む玉川上水の樹木

 雑木林は本来、薪炭材目的で10年から20年ごとに伐採を繰り返すことで生態系が成り立っていました。現在の玉川上水沿いに生える樹木は老齢化が進み、枯木も多くなっています。また、暴風雨や降雪の後には折れた枝が目立ち、危険なことも。今の時代に合った適切な管理が望まれます。

ツクツクボウシの羽化

本日の夜間昆虫調査中に遭遇しました...

ツクツクボウシの羽化!

しかも2頭同時です。
片方は草の先、もう片方は低木の枝だったのですが、距離にして50cm以内。

見とれていたところ、なんとカメラのバッテリー切れ!
普段は予備のバッテリーを持ち歩いているのですが、こういう日に限って忘れるものです。


バッテリーを交換し、再びセミの元へ。
さっきよりも翅の輝きが増しているような感じがします。

 
もう片方の個体。
なんと抜け殻が落ちていました!
どういう動きをしたのか不明ですが、脚で枝につかまることで助かったようです。

殻から抜けた後、抜け殻のすぐ隣でじっと止まっている個体は見かけることがあります。
このツクツクボウシは、殻から抜けた後に少し横へ移動したらその殻が外れてしまったのかもしれませんね。


ツクツクボウシの抜け殻。
ヒグラシとは殻がそっくり。成虫の体のつくりも共通点がたくさんあります。
並べて比較しないとなかなか違いが分かりにくい。