ふたたび「夜の林のかげえ」上映会

2016年9月21日(水)
小平のどんぐり林で「夜の林のかげえ」上映会が行われました。

8月27日(土)にも同様のイベントが行われていたのですが、その日は雨天のだったため公民館での開催となっていました。
今回は小雨決行。今度こそ野外での上映を!ということで開かれた第2回。
前日まで台風が来ていて、不安は大きかったものの、当日は夜まで雨が降らなかったため無事に野外で開催することができました。


ややアオマツムシのやかましさが気になったものの...やはり野外の方がずっと臨場感があります。

 
無事に終了!
おつかれさまでした。


おまけ。
最近はゴマダラチョウ/アカボシゴマダラの幼虫がよく見つかります。
この写真はアカボシゴマダラ。
時期的に、羽化するのかそのまま越冬するのか微妙なところ。

立川地域協議会主催 植物といきもの調査

立川地域協議会主催 「植物といきもの調査」として、玉川上水での自然観察会が行われました。

私は講師を担当。

9月中旬はいわゆる「夏の昆虫」発生のピークを過ぎ、それほど多くの花が咲いているわけでもなく、冬鳥たちもまだほとんど渡ってきてはいなくて、中途半端といえば中途半端なシーズンです。
にもかかわらず、色々なものが見つかりすぎて、なかなか先へ進めないような状態でした!
    

◆見つけたものと観察したこと



シラヤマギク
開花中の花、訪花するアリとカの仲間、葉の位置による形の違い

ネズミモチトウネズミモチ
緑色の果実、ネズミモチとトウネズミモチの実の形の違い
玉川上水に多く生えている、増えすぎると困る面も

・セミ
アブラゼミツクツクボウシがまだ鳴いている
抜け殻がまだまだ見つかる

・クモ
ジョロウグモが多い、オスとメスの違い(オスが小さい)
オニグモの仲間
ナガコガネグモのジグザグ網

ダンゴムシの抜け殻

ヒガンバナ
花が咲く頃には葉っぱがない、アゲハの仲間が訪れる
シロバナマンジュシャゲショウキズイセン

・増えすぎるシュロ
多くの実を付けている木、地面に落ちている実

チヂミザサ
花が咲いている株が多い

・林内と林縁の違い
日当たりの良い林縁にはススキのようなイネ科植物が多い

ミズヒキキンミズヒキ
ミズヒキは見頃終わりが近い
キンミズヒキが目立つ

・折れた樹木
玉川上水には老木が多く台風の後には多くの木や枝が折れる
大きめのコナラが根腐れにより倒れていた

・いくつかのつる植物
繁茂するクズ、少し花の咲いていたヤブマメ
ヤマノイモのむかご、オニドコロの果実


ヒナタイノコヅチ
名前の由来は子猪の膝と茎の節が似ていることから
分かりにくいが花が咲いている

・モグラ塚
モグラの仲間が土の中を掘る際に余分な土を捨てたもの
モグラを見ることは難しい

アサガオ
自生する植物ではないので通行人が植えた?

ツユクサ
開きかけの苞葉を観察


・たくさんの野菊


・樹皮にそっくりなイモムシ

・落ちていたハチの巣の一部


・落ちていた鳥の糞と未消化の種

チカラシバは引っこ抜けない

・たくさんのきのこ


・ヒゲの伸び始めたセンニンソウ

ゴンズイ
鮮やかな赤色の果皮は意外と堅い、種子はおいしくなさそう

ヌルデ
翼(よく)があるので見分けやすい、一応かぶれに注意


ガマズミの果実

・ムラサキシキブの果実
なかなか紫色にならない

・たくさんのテントウムシ
多く見つかったキイロテントウの他、ヒメカメノコテントウなど

アカボシゴマダラ


アカボシゴマダラゴマダラチョウに似たタテハチョウ科の蝶の仲間です。

準絶滅危惧種であり、生態系被害防止外来種(旧 要注意外来生物)でもあるというややこしい蝶。
本来国内では奄美大島周辺でのみ見られる蝶なのです。
そのあたりでは数が減りつつあり、その奄美亜種が準絶滅危惧種

しかしなぜか1998年頃より関東で見られるようになりました。
人為的に中国原産の種が持ち込まれた可能性が高いと言われています。(とりあえず2016年現在は。)

玉川上水でも数年前(2008年頃だろうか)より普通に見られる種となりました。

幼虫・さなぎ・成虫の姿形や食性もゴマダラチョウに似ていますが、「アカボシ」の名の通り赤い斑点が翅に見られることが大きな特徴。
口吻は鮮やかな黄色です。


春型は白みがかなり強く、別種のようにも見えます。


ゴマダラチョウと同じく、里山/雑木林環境が適しているようです。
成虫は樹液を好み、カナブン、カブトムシ、クワガタやスズメバチ、ヒカゲチョウと一緒に樹液を吸っている姿をよく見かけました。
9月に入ってからはルリタテハと一緒に樹液周辺でよく見かけています。


アカボシゴマダラの幼虫。
とてもかわいい!

タテハチョウの仲間で成虫の姿の似ている、ゴマダラチョウ、アカボシゴマダラ、オオムラサキ、コムラサキらのグループはみんなこんな雰囲気の幼虫です。
コムラサキの幼虫はヤナギ類が食草ですが、それ以外の3種はエノキ類を食べることも共通しています。

関東に移入してしまったアカボシゴマダラは当然のようにエノキを食べていますが、奄美亜種のアカボシゴマダラはクワノハエノキ(リュウキュウエノキ)を食べるとのこと。海岸近くにも生える沖縄版エノキといったところでしょうか。


アカボシゴマダラの幼虫に限ったことではないのですが、イモムシは脱皮した自分の皮を食べることがあります。
栄養があるのか、外敵から身を守るために自分がそこにいた証拠を消そうとしているのか。


顔部分の抜け殻。
脱いだ皮の体部分はやわらかいのですぐに形が崩れるのですが、顔部分はハッキリと形が残ります。




アカボシゴマダラのさなぎ。玉川上水では比較的よく見かけます。


地上から10数センチほどのササで蛹化していたので驚きました。
わりと低い位置でさなぎになることも多いようです。


羽化した後の抜け殻。
9月中旬の羽化。

おそらくこのくらいのタイミングで成虫になった個体が卵を産んで、次に生まれてくる個体は幼虫のまま越冬するのではないかと思います。(落ちたエノキの葉や樹の幹に張り付いて越冬します。)

 
たぶんアカボシゴマダラの卵。


さて、このアカボシゴマダラが増えたために在来ゴマダラチョウが減っている...という話も聞くのですが、なんともまだ分からない部分もあります。

たしかにエノキを食べるという部分では競合種なのですが。
このアカボシゴマダラが樹の幹でも越冬できるのに対して、ゴマダラチョウやオオムラサキは落ち葉に張り付く形でしか越冬できないと言われています。
つまりは、そのエノキの落ち葉をすべて掃いてしまうような管理の場合、ゴマダラチョウやオオムラサキは生き延びることができません。
さらに、比較的乾燥に強いアカボシゴマダラに比べると、オオムラサキたちは湿潤な林を好むようです。

玉川上水ではそもそも昔から、典型的な里山環境では普通に見られるオオムラサキがほとんど確認されていませんし、アカボシゴマダラが増える前からゴマダラチョウもそれほど多くなかったような感じもあります。
外来種に責任を押し付けたくもなりますが、落ち葉管理や林の環境のほうが大きな問題なのかもしれません。

玉川上水の水路周りにはかなり多くのエノキがありますが、人が普段から通行するために落ち葉を掃かないわけにはいかない部分がほとんどです。
安全柵内の場合は基本的に掃かないものの、急斜面になっている部分が多く、ふかふかに落ち葉が貯まっていくような環境はなかなか作れないのです。
難しい!

クモの基本を学ぶ本

クモの基本を学ぶのに便利な本を紹介。

クモ基本60 Spider Life
クモ基本60 Spider Life
東京蜘蛛談話会さんの「クモ基本60」が入門用に便利。
記録率の高いクモを掲載しているのがいい!

おそらく玉川上水で見つかるクモはほとんど掲載されているのではないか。

書店等で見つけることは難しいかもしれない。
昆虫文献 六本脚の実店舗(千代田区)に置いてありました。
頒布価格1000円。


クモハンドブック
クモハンドブック
入手しやすい文一総合出版さんのハンドブック。
「かんたん検索」もついていて探しやすい。
身近に見られるクモ100種を掲載。