玉川上水の「提灯測量」は誰が言い出したのか

羽村市教育委員会『講座 玉川上水』より
たまたま阿部弘蔵さんの「玉川上水ノ工事」という論文の中に夜間測量のやり方が非常に具体的に書いてありますが、原点については明らかではありません。
とのこと。
阿部弘蔵は幕末〜明治期の人物で、彰義隊にも参加していたようです。
現在でも読むことができる著作がいくつか。

この阿部弘蔵氏の記述により、夜間に提灯・線香測量をしたような噂が広まったのか、そもそもそういう噂があったので阿部氏がそういう記述をしたのか、順序は分かりません。

杉本苑子さんの小説『玉川兄弟』にも、線香測量の場面が登場
羽村市郷土博物館にも提灯・線香測量の様子の再現展示があり。

現代でも提灯・線香測量を行った噂はぼんやりと広がっていますが、小説や展示の影響なのか、大昔から人から人へ伝わってきた昔話なのか、はっきりとは分からなくなっています。

最近では「提灯・線香測量は行わなかった」という説の方が優勢、その上で昔話として楽しんでいる感じがあります。

砂川村地図


※クリックすると拡大します。

現在の立川市内北部にあたる、砂川村。
玉川上水開削後に、岸村(現在の武蔵村山市)の人々によって開拓されていきました。

一番(組)から十番(組)まで十の組に分かれています。
現在、正式な地名としては残っていませんが、自治体がこの枠組みで形成されていたり、交差点に「砂川◯番」という名前が付いていたりします。

多摩モノレールで南へ向かう時、玉川上水駅の次にあるのも"砂川七番"駅。
「砂川町七丁目のことなのかな?」と誤解されることもあるのですが、実際は古い呼び方から付けられたわけです。
住所としては柏町三丁目。

五日市街道沿いを歩いて行くと、屋敷森としての高木ケヤキがいくつも残り、蔵のある立派なお屋敷がまだまだたくさん見られます。



どのあたりが何番組だったか忘れそうになることがあるので、復習も兼ねて今回は作図。

久しぶりにIllustratorを使って図を作ったのですが、無駄に時間がかかってしまいました。
今後も図を使いたい機会はたくさんあると思うので、慣れておきたいところ!

植物勉強メモ



早咲きの桜がどんどん開花しています。
日の出、日の入りの時刻もぐんぐん変化しているこの頃。


さて、植物勉強メモ。
結構前から植物の写真は撮り続けているので、いわゆる「武蔵野の野草」や「雑木林の樹木」の多くは花を見たら種を判別できる能力はあります。
しかし、「花が咲く時期に探して撮る」ようなことしかやってこなかったので、生態に関する知識が欠けています。
今になって基礎の基礎から必死に勉強中。
保全する視点になると、たくさんの知識が必要になってきます。


実生(みしょう)・・・種子から発芽した植物。

成長点(せいちょうてん)・・・根や茎の先端にある。細胞分裂の活発な位置。剪定、刈り込みの際にここを意識する必要がある。

当年枝(とうねんし)・・・本年枝とも。その年に伸びた新しい枝。種によって、色が違う、毛が生えているなどの特徴が現れることがある。

一日花(いちにちばな)・・・一度だけ咲いてその日のうちにしぼんでしまう花。そのかわり、次から次へと花をつけるので、花を見られる期間が極端に短いわけではない。実際は、二、三日咲くものも。夏の花に多い。
身近なものではアサガオ、カンゾウ、シャガなど。

三倍体植物(さんばいたいしょくぶつ)・・・日本のシャガ、日本のヒガンバナは基本的に三倍体植物で種子がほぼできない。地下茎で増える。驚き!

鱗芽(りんが)・裸芽(らが)・・・冬芽の形状。うろこ状の芽鱗に芽が包まれているものは鱗芽。芽鱗を持たないものは裸芽。裸芽も、意外に硬さがあって驚く。

葉芽(ようが)・花芽(はなめ)・・・葉になる芽と花になる芽。冬芽は「とうが」とも「ふゆめ」とも読む。葉芽を「はめ」と読むことは少ない。花芽を「かが」と読むことも少ない。

つる性植物の右巻きと左巻き・・・先日この話になった。非常にややこしい問題。つるの巻き方にしても、ネジの巻き方にしても、内側からの方向見るか/外側からの方向を見るか、上からの方向を見るか/下からの方向を見るか、によって右とも左とも言えてしまう。フジが左巻き。ヤマフジが右巻き。S巻、Z巻という表現の方が分かりやすい。

一年草(いちねんそう)・・・一年生植物とも。種子から一年の間に花を付け、種子を残して枯れるもの。
植物ごとに、一年草か多年草か覚えていかなくちゃ!と思ったのですが、実際は多年草がほとんど。身近な一年草はアサガオ、ヒマワリ、ツユクサ、コスモスなど。


おすすめ本|全国雑木林会議編『現代雑木林事典』

現代雑木林事典
全国雑木林会議編『現代雑木林事典』



事典形式ではあるものの、扱っている範囲が広く、項目の数は少なめ。
あまり調べ物をするのには向いていないかもしれません。

例えば、「植物」として単独の記事があるのはアカマツ、アキノキリンソウ、アベマキ、ウバメガシ、クヌギ、コナラ、指標植物、ドングリ、ミズナラ、たったのこれだけ。
気になった身近な植物を少し調べたい、というときには使えるようなものではありません。
そのかわりそれぞれの記事に、その植物の形態だけでなく、利用法や現在の管理の実際など、広いテーマでの記述があります

一人の著者による執筆ではなく、数十人の専門家がそれぞれの記事を担当しています。
イメージとしては、雑木林に関する様々な視点からのコラム集
「論文集」というほど堅い内容ではありません。

パラパラと読んでいけば、雑木林に関するあれこれを楽しく学ぶことができます。