柴崎分水を歩く

11月の終わりに、柴崎分水を歩いてたどる機会がありました。



駅で言えば西武立川近く。
松中橋付近に2つの分水口があります。
左が砂川分水。右が今回たどっていった柴崎分水の入り口です。
もちろん現在も使われています。


立川市と昭島市の境近くを分水が下っていきます。
街中にも残る昔ながらの分水風景。
玉川上水本流と違い、水量は昔とそれほど変わっていないので、玉川上水以上に昔から変わらない風景とも言えます。

よく探すと、小魚が泳ぎ、カワニナも生息しています。


柴崎分水は途中、昭和記念公園の中を通っていきます。
イチョウの紅葉が見頃、いや、少し見頃過ぎでした。

暗渠になっている部分も多いものの、現在でも変わらず多摩川の水が長い距離を流れていることに驚きました。


10年前の雪景色


  (撮影 2006年1月)

約10年前、玉川上水の雪景色。
落葉広葉樹の多い玉川上水は、冬になるとほとんどが裸木に。
そのシルエットが美しいのですが、雪が積もるとさらに綺麗。

2006年、私はカメラの勉強もまともにしておらず、一眼レフも未所持。
玉川上水に特別な思い入れもなかったこの頃ですが、奇跡的に
おもちゃのようなデジカメでこの一枚を残していました。


今年も積もるかなあ。

野火止用水の水車苑

多摩の水車を全部見て回りたい!と思っております。
今回は野火止用水の水車苑へ。

野火止用水は、玉川上水駅の少し東、現在小平監視所があるあたりから川越方面に分岐する分水です。

分岐地点からすぐの辺りは何度か見ていますが、その先を見るのは今回が初めて。

久米川駅を降りて、新青梅街道を歩きます。
片側にメタセコイアの並木。

これは…なかなかすごい光景!
歩道橋から眺めると、ずっと向こうまで高木が続いています。



しかし水路は見えてきません。
本当にまともな水路が残っているのか不安な街並み。

歩道橋を降りると...あった!

ちょうどこの辺りから開渠になるんですね。

玉川上水に似た景色ですが、こちらはケヤキが多い!


仰々しい注意書きが並びます。

どちらかといえば、増えすぎ肥え過ぎ、そしてホタルの餌となるカワニナを食べてしまうため、最近は厄介者扱いされることも多いコイ
ここでは大事にされているようです。


餌やり禁止とする水路や公園が増える中、ここではパン歓迎。
野火止上流ではホタル復活活動が盛んなのでギャップを感じます。


大きい、青サギにコイを食べられましたのでバリケイド作りました

ここではアオサギがすっかり悪者らしい!

昔をしのび伊豆殿堀をきれいにしましょう

野火止用水は玉川上水開削の翌年、松平信綱によって作られた分水です。
松平信綱の官職名である伊豆守から、伊豆殿堀とも呼ばれます




水仙が咲いていました。まだ11月なのに。早い!




しばらく歩くと、たどり着きました水車苑



残念ながら水車は動いていませんでした。タイミングが悪かったのか、もう水は流さなくなってしまったのか。

立派な水車...ではありますが、周囲も含め、手入れされていない感じが気になります。


この雰囲気の建物にこの落書き。これはかなり残念。

水車苑を後にし、さらに北へ進んでいくと万年橋の大ケヤキが目の前に現れます。


これはびっくり。
樹齢数百年の大きな大きなケヤキ。
根が水路を跨いでいます!

 
今ではしっかりした橋がとなりに架かっていますが、この木の根を橋として利用していた時代もあったらしいとのこと。



しばらく歩いて距離を取らないと、ケヤキ全体を写真に収められません。



けやきの根本には馬頭観世音(馬頭観音)が。
奉納は寛政だと掘ってあります。
庚申塔と馬頭観音はかなり流行していたようで、玉川上水周辺を散策していてもたくさん見つけられます。



帰り道、猫が野火止用水の水を飲んでいるところに遭遇。
雑種には見えないので逃げ猫でしょうか。

そういえば、玉川上水はお堀が急すぎる上、水位が低いので野生動物が水を飲むのはむずかしそうですね。(野鳥は除く)



十月桜が満開でした。

あちこちで咲いているわりに、不思議と秋冬に咲く桜があることを知らない方が多いような気もします。
どうなんでしょう。


さてさて、次の水車はどこでしょうか。旅は続きます。

小平ふるさと村で江戸時代の多摩にタイムトリップ!

行ってまいりました小平ふるさと村


小平駅から出発です。ここから徒歩20分とのこと。
ありがたいことにいいお天気です。



狭山・境緑道を歩いていきます。
多摩湖から境浄水場までの水道管上の緑道で、西武新宿線の線路とほぼ平行に進んでいきます。


道中ホトトギスが咲いていました。


途中には小平市立あじさい公園があり、ちょっと寄り道します。

見上げると皇帝ダリア。爽やかな秋の風景。
アジサイが中心ですが、他の花も植えられています。

こちらの公園の花は小平のボランティア団体によって手入れされているそうです。
気になったものの、残念ながら活動日が平日午前のため、参加は難しそうです。


こんな時期に咲くアジサイもあります。


緑道はとてものどかで良い雰囲気です。
老若男女問わず、地域の方々が利用している空気感がありました。
いわゆる雑木林の樹木よりも、もうちょっとバリエーション豊かな木が植えられているため、
散歩していて飽きません。
ここが生活圏の方々がちょっとうらやましい!

こちらはマテバシイ
ブナの仲間ですが、葉が落ちない常緑広葉樹。
マテバシイのどんぐりはアクが少ないので食べやすいと聞きます。
一度は食べてみたい!



緑道の途中で大沼田用水と交差します。
このあたりの水路は、もちろん玉川上水からの分水です。
いつか時間を作ってこちらの水路もじっくりと辿ってみたいですね。



さてさて、やってきました小平ふるさと村
人通りの多い緑道に面していてさらに入場も無料。
そういうわけなので、公園に入るような感覚で多くの人が気軽に入っていきます。

ここには、江戸時代から明治までの建築物が移築されて集まっています

今回の一番の目当てはこちらです。
これが、かつて武蔵野新田のあちこちで見られた水車の風景である!

人力による精米はなかなかの重労働。
(シーソーのような足踏み式の精米機を、深川江戸資料館で体験したことがあります。)
水流を動力に変換できる水車がどれだけ便利だったことでしょう。
もちろん、お米以外の穀類を精白したり、小麦を粉にするような作業もおまかせです。


完全に江戸時代の多摩へタイムトリップしたような風景です。
よく見ると奥に電線は見えているんですけどね。

江戸時代、と書いたものの、昭和初期まではこういった風景がまだ日本のあちこちで見られたのだと思います。



 
五穀。テストにでますよ!(?)

五穀の内容は、時代、地域によって様々ですが、ここでは「陸稲*1」なのがポイントでしょうね。
水の乏しい地域ですから田んぼが少なく、水稲ではなく陸稲が中心だったと。


おみやげにコゲラサブレーを買って帰りました!
コゲラは小平市の「市の鳥」です。



売店にて、小平市史概要版「小平の歴史」を購入することができました。
2015年に発行されたばかりのものです。
 小平市史概要版「小平の歴史」は、平成24年度に刊行いたしました小平市史「近世編」「近現代編」「地理・考古・民俗編」の3編に記載されている主要なテーマを概ね集録し、わかりやすく一冊にまとめた入門書です。
東京都小平市公式ホームページより。

なんと400ページ以上のだっぷりボリュームで600円。これは親切価格。
玉川上水についての記述もあり。
各市の市史を購入することも、読み切ることもなかなか大変なので、とてもありがたいです。


*1 普通は「おかぼ」と読む。水稲と並べた場合には「りくとう」と読むこともあるかもしれない。田んぼではなく畑で育てる稲のこと。