日本野鳥の会 会誌『野鳥』昭和46年2月号 巻頭は「玉川上水の鳥」

日本野鳥の会の会誌『野鳥』昭和46年2月号を入手することができました。


目的は、玉川上水について書かれている記事。
しかし、分かっていたのは「玉川上水の鳥」というタイトルの記事があるという情報だけ。
「その当時(1971年)玉川上水に生息していた具体的な野鳥の情報があるかも!」と期待したのですが、残念ながらそれは無し。
そのかわり、その時期の玉川上水に関するとても質の高い文章が掲載されています。エッセイ寄り。

国木田独歩の『武蔵野』で描かれた玉川上水周辺の情景とその魅力ついての話からはじまり、その頃の玉川上水暗渠化、通水停止、道路化に対する批判となっています。


記事の終盤にこんな文が。
それを繁栄に導いた玉川上水でありながら今日まで国はおろか、都の文化財にも史蹟にも指定されてゐない。どうせ文化心のない役人共のすることだから、史蹟などに指定しては、あとの破壊が面倒になるといふ下心があったのかも知れない。
2003年(平成15年)8月に玉川上水は国の史跡に指定されました。
その頃の作者に教えてあげたいですね。


ところで、目次には「玉川上水の鳥」と書かれているのですが、本文ではタイトルが「玉川上水の小鳥」となっています。何か手違いがあったのか...


まだ中西悟堂先生がご健在の頃の日本野鳥の会。
その会誌はとても文学性が高く、専門的な内容となっています。
現在の会誌『野鳥』が、写真中心の「野鳥ファンクラブ」的な内容になってしまっているのは、仕方のない時代の流れでしょうか。