宝井馬琴 講談「玉川上水の由来」

講談十八番集~宝井馬琴「玉川上水の由来」 一龍斉貞丈「命のて摺い」
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講談「玉川上水の由来」の全体的なあらすじなどは、桃川鶴女 講談「玉川上水の由来」の方にまとめてあります。

「玉川上水の由来」が録音された貴重なCDです!

こちらの録音年は分からないのですが、五代目 宝井馬琴氏は明治36年生まれ。
やや古い感じの音質ですが、決して聞き取りづらいようなことはありません。

桃川鶴女さんのものと、この宝井馬琴さん以外の録音音源は今のところ確認できていません。
もしも他に「玉川上水の由来」の音源があればぜひ教えて下さい。

さて、肝心のその内容ですが、桃川鶴女さんの録音とほとんどが同じ。
「話の筋がだいたい同じ」なのではなく、一語一句完全一致している文が多いのです。
(講談がどうやって継承されていったかを考えると、そのことは不思議ではないのですが。)

微妙に表現が変わっている部分はあって、特に気になった部分は以下のもの。(敬称略)

桃川鶴女 玉川村の百姓
宝井馬琴 多摩川の在方で百姓をしている
※「在方(ざいかた)」は、田舎や農村のような意味。「多摩川の在方」というと、「多摩川沿いの田舎村」のような解釈でいいのかな?

* * * * * * * *

桃川鶴女 井の頭上水
宝井馬琴 神田上水
※井の頭上水は神田上水の別名なので間違いではない。ただ、現在は神田上水の方が一般的に思える。録音の新しい桃川鶴女さん版の方で井の頭上水としていることが意外。

* * * * * * * *

桃川鶴女 この功績をたたえまして、
石碑が四谷四丁目の交差点のところに『四谷大木戸水道牌』
そして兄弟の銅像が羽村の町に立っております。
宝井馬琴 なし
ラスト直前。
玉川兄弟の銅像は1958年(昭和33年)9月に作られたものなので、宝井馬琴版の録音時にはそもそも銅像がなかった可能性もある。