鷹の台雑木林昆虫観察会に参加しました

4月24日、鷹の台雑木林昆虫観察会に参加しました。

講師は高槻成紀先生、韓昌道先生。

鷹の台駅に集合し、玉川上水を上流方向に進みながら、虫の観察と植物の観察を行いました。

最近私はあちこちで樹木の新芽を定点観察していく中で、虫に食べられる葉がとても多いことが気になっていました。
例えば「エノキの新芽を食べる虫はどんなものが考えられるか」などなど、この機会に聞きたかったことをたくさん質問!

エノキの葉を食べる虫は、ゴマダラチョウ(最近はアカボシゴマダラが多い)、オオムラサキ、テングチョウ、タマムシ、そして多くの蛾の仲間など。
虫にはなかなか人気があるようです。
玉川上水では、実生によりエノキの若木はたくさん出ていて、そして結構な割合で虫に葉が食べられています。

あいにくの雨で、あまりたくさんの虫は観察できなかったものの、勉強になることが多かった観察会でした。

私も少し、植物の解説を担当。
キンラン、ギンランの花がたくさん見られ、盛り上がりました。



柵の軸となっている、広い面に虫が集まりやすいとのこと。
野鳥から狙われやすい気もしますが...観察不足なのか、こういった場所で虫を食べる野鳥は見たことがありません。




観察中に目立っていたサワフタギのつぼみ。
もう少しで開花します。

「玉川上水のタヌキを調べる」高槻成紀

武蔵野美術大学で行われた、 トーク「玉川上水を探検する」の第二回。


高槻成紀先生による「玉川上水のタヌキを調べる」でした。
進行は関野吉晴先生。
4/18(水)16:30~18:00(実際は19:00近くまで)

今回も、前回同様集まったお客さんはおそらく100人以上
ムサビの学生と、地域の住民がたくさん集まりました。




私はすでに高槻先生の『タヌキ学入門』を読んでいたので、その本の内容と被る部分も多かったのですが、とにかくお話が面白く、勉強になった回でした。



いくつか要点などを。

・2008年〜2010年に自動撮影による調査が行われた。タヌキのほか、ハクビシン、テン、キツネ、ネズミ類が撮影された
・テンやキツネの生息は山地に近い西よりに限られるが、タヌキに関してはそうでもない。下流でも、まとまった藪があれば生息する。徹底した下刈りが行われていない、常緑低木の多いエリアに多い
タヌキは「ため糞」をする。トイレの場所が決まっていて、毎回同じ所に糞をするため、どんどん貯まっていく。そこからタヌキの食べた植物の種子が発芽する。
・東京オリンピックの時代、東京の開発はさらに進み、多くの緑地が失われた。暗渠化したり、途切れてしまった部分はあるものの、玉川上水の緑地が残っているのは貴重な事例。
・東北での生活が長かった先生にとって、玉川上水の林はある意味「ちゃっちい林」。大したものではないとも言える。ただ、東京都内、市街地の中にこれが残る意味が大きい。
・「市民が取り組むべきことは?」自分の住んでいる地域の自然を知ることが大事。


個人的にも、ある意味「大したことはない林」というのは大きなポイントだと思っています。特に外部から来た専門家の方が、決してけなす意図があるわけではなく、玉川上水の林についてこういった表現をすることがよくあります。
たしかに「山奥に残るブナの原生林」のような方向性の価値がある林ではありません。どこで撮影しても絵になるような林でもないかもしれません。しかし、生活と密着した場所に、こういった林が残っている価値は決して低くないのではないでしょうか。

小平の夏鳥調査+観察会に参加しました

小平市内の玉川上水で開催されたどんぐり林の夏鳥調査+観察会に参加してきました。

人通り、車通りの多かった時間帯であったこともあり、観察できた野鳥の種類・数はやや控えめな結果。
ただ、夏鳥の飛来はばっちり確認できました。キビタキにエゾムシクイ、玉川上水周囲のツバメなど。
この時期の野鳥観察の面白さは、まだ冬鳥も残っていることです。ツグミ、シメの声はまだあちこちから聞こえてきます。

そして、やはりというか、調査への参加はとても勉強になります。
良い出会いもあり、楽しい観察会でした!また参加したい。


後半は、加藤ななえさん(バードリサーチ / カワウ研究者)のお話でした。
カワウに関する、魅力的で楽しいお話がたっぷりの時間。
カワウに対する考え方が変わりました。
最近は玉川上水での目撃も増えているので、この機会にしっかり観察してみようかな。

キンランとギンラン

キンラン(金蘭)とギンラン(銀蘭)
どちらも雑木林の林床で育ち、美しい花をつけるラン科の植物です。


こちらはキンラン。
繊細で品があります。(当然人気もあり、毎年盗掘が心配されます。)

玉川上水の林床で見られる春の花の代表格。
というわけで、私の制作した玉川上水の自然保護を考える会webサイトでも、トップページにキンランの写真を掲載しています。

あらためて考えてみると、「キンランの背景に水路」という風景はちょっと珍しいものかもしれません。



本来は、雑木林の中では当たり前のように見られた種のはず。
この景色を大切にしたいものです。

菌根菌との共生関係にあり、どこかへ移植してもうまく育たない植物です。
周囲の環境も含めて、適切な管理が必要。


遠くから見ると黄色い塊のような形に見えてしまうこの花ですが、近づいて見ればランの花らしい形であることが分かります。



こちらはギンラン。キンランよりも清楚なイメージ。

  
キンランよりも、さらに開かないタイプの花です。
こちらも遠くから見ると、ランの仲間だと分かりにくい。



玉川上水で見られる他のランの仲間としては、シュンラン(春蘭)があります。
これも大好きな植物。
他のランの仲間の多くは、萼弁も鮮やかな色をしているのに対して、シュンランの萼弁は葉に近い色になっています。
そのため、構造的には典型的なランの花の形をしているのにどこまでが花なのか分かりにくく、不思議な形の花という印象を受けやすくなっています。


シラン(紫蘭)の花。
こちらは花びらも萼も同色のため、ランの仲間だと分かりやすい。
玉川上水でもあちこちで見られるこのシランですが、おそらくは昔から自生していたものではなく、栽培していたものが広がって増えているのではないかと思っています。