7月の花だより

玉川上水で見られる野草、山野草、雑草、樹木、花をご紹介!



ヤマハギの花が咲きました!早い。
秋の七草としてもお馴染み。


オニドコロの花。
繁茂しすぎるやっかいなつる性植物でもありますが、小さくてかわいらしい花をつけまし。


ヒメヒオウギズイセン
誰かが植えたものと思われる園芸種。


トウネズミモチの花。
遅めに咲いているものがいくつか。

 
エゴノキの実。
かじられた跡があります。エゴヒゲナガゾウムシのしわざなのかどうか研究中。



ネジバナの花。
明るい草原的な環境に生えてくる雑草のため、玉川上水林内ではあまり見られません。
林縁の明るくなっている部分に出てくることがあります。
花の付き方にバリエーションがあって面白い。


ノカンゾウの花。
花のすぐ下に白いアブラムシがびっしりとつきやすい。
きれいな写真を撮ることがちょっと難しい花です。


ヒメヤブランの小さな花。


ヤブマオの花。

水路近くにびっしり。


ウマノスズクサの花。
不思議なラッパ型の構造。
ハエを閉じ込めることができるようになっています。花粉をつけるためで、食虫植物ではない。


ボタンクサギの花。
綺麗な花をつけますが、気をつけないと増えすぎる樹木。


オオバギボウシの花。
順番に花が咲くので、写真のベストタイミングを見極めることが難しい。

 
雨天と蒸し暑い日が続き、きのこがたくさん発生しています!

「自然保護」は古いのか?「C型自然保護」とは

「自然保護」のイメージと誤解

「自然は手付かずのまま、人間が関わらないことが一番」というイメージは、今でも根強く浸透しているのではないかと思います。
たしかに、放置することが良い結果になる環境もあるのですが、人間の生活と関わりの深い「雑木林」、「里山」については、良い状態に維持するためには、手入れが不可欠です。





日本自然保護協会『自然の見方が変わる本』

「自然保護」は古いのか?

80年代後半から90年代くらいでしょうか。
たくさんの環境問題が話題になり、それまで興味を持っていなかったたくさんの人も「自然保護」に注目するようになりました。
しかしその勢いの中、盲目的で極端な「自然保護活動」も生まれてしまい、その反動で「自然保護」にネガティブなイメージも持たれてしまったのではないかと思っています。

その頃に広がったイメージで、「自然保護活動」=「木を一本も切らせない活動」のように思われて、そのイメージのまま止まってしまっている部分もある気がします。

タイムリーな話題としては、ごく最近の玉川上水に関する意見交換会の中でも「自然保護自然保護と言いますが、自然保護というのはもう古い」というような発言もありました。

現在の「自然保護」はどのような意味を持っているか

NACS-J 日本自然保護協会自然観察指導員の講習では、3タイプの自然保護があると教わります。
1.P型の自然保護(Preservation=保存、Protection=保護)
2.C型の自然保護(Conservation=保全)
3.R型の自然保護(Restration=復元、Rehabilitation/Recovery=回復)

原生自然を推移に任せ、外からの圧力から守るようなタイプがP型の自然保護。
人が手入れをし、持続可能な管理をしていくタイプはC型の自然保護。
失われてしまった自然環境を取り戻していくタイプはR型の自然保護。

現在の主流はC型の自然保護です。
世界的にも、時代の流れとともにP型からC型自然保護への転換が行われていったようです。

日本自然"保護"協会の英語名も、The Nature Conservation Society of Japanであり、保全の意味のConservationが使われています
"保護"と聞いてパッと頭に浮かぶのはProtectionですが。
少なくとも日本自然保護協会は、上記P型、C型、R型、3種すべてを含む広義の自然保護を表す場合はConservationを「自然保護」と訳す、としています。

結論

保存や保護しか行わない「自然保護」は確かに古いとも言えるのかもしれません。「環境保全」という言葉を使う場面が増えてきています。しかし、文脈によってはこのまま「自然保護」という言葉を使い続けても問題ないのではないでしょうか。
ただ、「自然保護」に「保全」の意味も内包されていて、決して「木は絶対切らない、手付かずの自然を大事にする」ような活動だけではないことを伝えていく必要はありそうです。


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樹液に集まる昆虫

玉川上水で、樹液に集まる昆虫調査を続けて、だいぶ傾向が分かってきました。

・ほぼ一日中見られるもの
カナブンヒカゲチョウの仲間、ナメクジアシナガヤセバエの仲間、ダンゴムシ

・明るい時間帯にやってくるもの
スズメバチゴマダラチョウの仲間
ジャノメチョウ亜科以外のタテハチョウを探すとしたら、10:00〜13:00くらいが良さそう

・日が落ちてからやってくるもの
ヤガの仲間
シタバガの仲間が多い。フシキキシタバが特に多いと思う。

・夜と早朝に見られるもの
カブトムシクワガタの仲間
※日中にも見られることはある

・不明
オオキスイケシキスイの仲間
※小さな体を幹の間に隠すため、見逃していることが多い
※たぶん、時間帯問わず樹液に集まる


気になるポイントと調べたいこと

・樹液に集まるジャノメチョウ亜科以外のタテハチョウは、アカボシゴマダラしか見ていない。樹液には来ていないがイチモンジチョウは近くで見かけている。もっと色々は種類が見られないものか。

・ジャノメチョウ亜科ではヒカゲチョウがほとんど。時々サトキマダラヒカゲ。クロヒカゲなど別の種がいないかよく見る必要がある。

・クワガタの仲間ではノコギリクワガタが多い。ヒラタクワガタ、コクワガタも時々見かける。他の種類はいるのか。

・夜にも活動するモンスズメバチもいる。夜間はスズメバチが活動しないものだと思って油断しないように。実際7月3日20:00過ぎに見かけている。


フシキキシタバ
見かけることの多いヤガ。理由は分からないが、樹液が出ている場所からはやや離れて止まっていることも多い。


カキバトモエ
大型のヤガ。地面に近い場所で見かけることが多かったが、偶然かもしれない。


おそらくオオシマカラスヨトウ
厳密には、お腹の模様を見ないとナンカイカラスヨトウ(そっくり)と区別できない。
シマカラスヨトウの可能性もある。とりあえず、そのあたりの仲間であることは間違いない。


ヒラタクワガタ
強そうなアゴです。


カナブン
体色は茶色〜緑色まで。
鮮やかな緑色のものはアオカナブンともそっくり。
足の付け根を見たらどちらか分かるのだけど、今のところ調査時には区別していない。
アオカナブンの方がわずかに細長く、それで判断できる場合も。


樹液に集まるたくさんのヒカゲチョウとサトキマダラヒカゲ。


両目の間が黒くなっているモンスズメバチ
比較的よく見られるのはオオスズメバチだと思っているのですが、あまりじっくり見るのも危険なので詳しく調査できていません。


アシナガヤセバエの仲間。
たぶん、ホシアシナガヤセバエとモンキアシナガヤセバエの2種が生息しているのだけど、今のところ区別せずに調査しています。


オオキスイムシの仲間。
ヨツボシオオキスイムナビロオオキスイの2種がそっくりで、鮮明な写真を撮るか採集しないと区別が難しい。


ゴマダラチョウ
オオムラサキの仲間。
爆発的に増えているアカボシゴマダラに比べると、個体数は少なめ。



アカボシゴマダラの夏型。
口吻は鮮やかな黄色。


日中、樹液に集まるたくさんの昆虫たち。


カブトムシのオス!
あちこち探していると、意外に早朝、夜以外の時間帯でも見つかる。


ヒカゲチョウ


スズメバチは強いアゴをつかって周りの虫たちに威嚇します。
カナブンはかなわない。独占状態。

 
コガタキシタバ


コナラのくぼみにニホンミツバチが巣をつくりました。
そのミツバチを捕食するためにやってきたスズメバチ。


カブトムシコシロシタバ
カブトムシの角が邪魔だったのか、斜めに羽を立てています。
シタバガの仲間がこんな角度で羽を立てているところは初めて見ました。


ムクゲコノハ
ヤガ科。シタバガの仲間のように美しい後翅を持つ。
やや大きめ。


オニベニシタバ
翅がボロボロ!
前翅を閉じているのに、派手な後翅が見えてしまっている。
損傷が激しいけれど、ベニシタバは前翅の模様が全然違うので、オニベニシタバで合っていると思う。


クルマスズメ
スズメガ科。
「いないはずはない」と思っていたスズメガの仲間。
7月後半にやっと遭遇。ホバリングしながら樹液を吸います!


オオクシヒゲコメツキ
分かりやすい名前です。
大きくて、ヒゲが櫛状になっているコメツキムシ。
写真では分かりにくいのですが、3cm程度の大きさ。
コメツキムシとしてはかなり大きく、見つけるとびっくりします。


ニホンヤモリ
昆虫じゃないけれど。
樹液付近で見つかります。樹液にやってくる虫を食べようとしているのでしょう。


ルリタテハ
瑠璃色が美しいタテハチョウの仲間。
時々樹液を吸いにやってきます。

玉川上水での録音実習


7月に入り、玉川上水も本格的に夏です!!

といっても、市街地と比べたら林内はずいぶん涼しい。
おそらく2〜3度くらい低いのではないでしょうか。

さて、虫の調査で散策していたところ、どう見ても林を散策する格好ではないあやしい学生の集団に遭遇

いったい何の集まりなんだ?と気になり近づいてみると、なんと出身音大、出身学科の学生たちでした。


マイクをセッティング!
録音実習の授業です。


玉川上水 小平監視所の先に、水面近くまで降りられる場所があります。
そこにマイクをセットして、録音開始。

音大というとクラシックのイメージが強いかもしれませんが、国立音楽大学音楽文化デザイン学科のカリキュラムの中には「録音演習」もあるのです。

国立音楽大学は玉川上水駅からすぐ近く。
自然音を録ろうと思ったら、玉川上水が最適なのです。
基本的に毎年、ここで録音実習の授業が行われています。


流水音をレコーディング中!
再生水が流れはじめる地点では、滝のような音を録ることができます。


スズメバチが多い季節。

林内はなるべく長袖長ズボンで移動しましょう。
熱中症にも気をつけて!