おすすめ本|私たちにたいせつな生物多様性のはなし

私たちにたいせつな生物多様性のはなし 
 私たちにたいせつな生物多様性のはなし


「生物多様性」の基礎的な知識をバランスよく学べる一冊でした。

専門家による興味深い独自の視点で書かれた文章という感じではないのですが、現状をさらっと学ぶのには分かりやすい本だと思います。

特に、マクロな視点での「生物多様性」、そして暮らしとのつながりについて、ほどよく掘り下げられていました。
それがいい!

身近な自然の生物多様性を保つために具体的にどんな管理を行っていくべきか、そういった生態学的な視点ばかりで学んでいると、気付けないことがたくさんあります

最近良く話題になる「生態系サービス」についての概要、国内・国外の現状の基本的な部分などもかなり易しく解説しています。

個人的に重要だと思うのは、「ビジネスと生物多様性のつながり」というパートです。
"お金の流れを変えることで生態系が守られる"なんていう記事もあり。

その全てがうまく機能しているとは限りませんが、主にイメージアップのために環境保全事業に取り組んでいる大企業は多く、それらは「地域のボランティア」の活動では決して実現できないことを成功させている場合もあります

「自然のために…」という考えよりは、環境保全を積極的に行うことが企業にとっても具体的なメリットがあるような流れができることがやはり理想でしょうか。

ただ、環境問題には胡散臭い部分もたくさんあります。
こういった本を一冊だけ読んで感化されず、色々な視点の考えを知り、自分でも考えていくことがなにより大切かと思います。

未同定だった虫の整理

種類が特定できず、今まで掲載してこなかった玉川上水の虫たちがいます。

分かったものをまとめ。
間違っている可能性もあるので、同定するための参考にはおすすめしません。


ベニスジヒメシャク
シャクガの仲間。「ベニ」というより、紫がかったピンクの模様が美しい。
地面で休んでいました。


マエアカスカシノメイガ
ツトガ科 ノメイガ亜科。
羽は透ける。かなり小さい。



アカシマサシガメ
カメムシの仲間の中でも特に嫌われやすい気がする、サシガメの仲間。
虫を食べる。


オオギンスジハマキ
ハマキガ科。
銀色の筋にはかなり光沢感がある。


玉川上水で見かけたものではない。
キイロアシナガバチと思われるアシナガバチ。


キオビツチバチ
ツチバチ科。この写真では分かりにくいけれど、お腹に黄色い紋があった。


キマワリ
ゴミムシダマシ科。
遠目にはオオゴミムシと間違えそう。顔や足の雰囲気は違う。


調べても分からなかったもの。
ハグルマエダシャク等に似ている。
シャクガの仲間で、エダシャク亜科の何かではないだろうか。


ハナアブ

 
ベッコウガガンボ
ガガンボ科。
ハチの仲間に擬態しているような体の色。
足の形や動き方は完全にガガンボの仲間。


ムーアシロホシテントウ、でいいと思う。
シロホシテントウの仲間は区別が難しい。
採集するか、色々な角度で写真を撮っておくと確実。


アカスジキンカメムシ
光沢があり、高級感(?)のあるカメムシの仲間。


ガの仲間は本当に難しい!
まずは、パッと見て、何科なのかは分かるようになるといいのだけれど。

おすすめ本|日本の野鳥(山溪ハンディ図鑑)


新版 日本の野鳥 (山溪ハンディ図鑑)

新版 日本の野鳥 (山溪ハンディ図鑑)

日本の野鳥図鑑の決定版
野鳥図鑑でいいものはないか?と聞かれたらこの図鑑をおすすめします。


いいところ:
何より気に入っているのは、分布、観察時期の他、食性もほぼ全種について書かれていることです。
写真+ちょっとした解説のある図鑑はたくさんありますが、例えば「何を食べるのか」を書いていたり書いていなかったり種類ごとにバラバラなことが多いのです。

また、分布についても国内地図ではなく世界地図。
渡り鳥が日本で見られない期間にはどこにいるのか、そして国外でも同様に見られる種類なのか。最近はこれが気になることが多いのでうれしい情報です。

微妙な違いの亜種や幼鳥など、この図鑑だけでは判断しきれないものもあるかもしれませんが、普通の図鑑よりはずいぶん掲載写真の数は多くなっています。
そして、掲載写真のほとんどが顔を左に向けた鮮明な写真!比較がしやすくなっています。


悪いところ:
サイズが大きく重たい。持ち運びできるサイズにはなっているのですが、普段からリュックに入れるのには不便。家で読むのにはちょうどいいと思います。

掲載種が多すぎるので、初心者向きではない。最初の一冊としてはもっとシンプルな本をおすすめします。(基本がわかる野鳥eco図鑑など。)


その他:
どんな環境で野鳥観察をするかによって、必要な図鑑はかなり変わってくると思うのですが、個人的には鳥のポケット図鑑の必要性を感じたことがほとんどありません。
野鳥初心者の頃は、その場で図鑑を見てもなかなか分からないでしょうし、野鳥観察に慣れてき頃には、知らない種に出会う頻度はずいぶん低くなります。

最初は基本がわかる野鳥eco図鑑のようにひたすら写真が羅列してあるタイプではない本を買って、慣れてきたらこの「日本の野鳥」を自宅用に購入、そして同定の難しい「カモメ」や「シギ・チドリ」に限り持ち運び用のハンドブックを買うような順序をおすすめします!

玉川上水中流域の水生昆虫

玉川上水中流域では、典型的な「水辺の昆虫」の成虫をたくさん見ることができます。
その多くは、水質的に「きれいな水」に住む昆虫、もしくは「ややきれいな水」で見られる昆虫です。

ただし、水質と水生昆虫との関係は普通、「幼虫が見つかるかどうか」で考えます。
残念ながら水路の構造的にも管理体制的にも、玉川上水中流域で水に住む幼虫を調べることは難しい。

林の中で成虫が見られて、近くに別の水場があるわけでもない。幼虫も水路に住んでいると考えてほぼ間違いはないと思うのですが...
いつかなんらかの方法で調査してみたいものです!

とりあえず、見かけた成虫の写真を並べます。


モンカゲロウの成虫。


未同定。カゲロウの仲間。



ヒゲナガカワトビケラ


ヘビトンボ


ゲンジボタル
きれいな水に住むイメージが強いのですが、実際は「ややきれいな水」に住むとされることが多い虫です。


虫ではない。
サワガニ!時々玉川上水の林でも見られます。
ただ、どういう生活をしているのかが分からない。
水路から林へ上がってくることは難しいだろうし...


カワゲラ


また、(貝類の)シジミが昔は見られたよ!という話も聞いています。
ヤマトシジミなのか、詳しい種類は不明。



トンボの仲間たち。
水質を判断する指標生物ではない。
種類ごとに、様々な環境で産卵する。


玉川上水の水路の中の様子は観察しにくく、まだまだよく分からない場所です。
サギの仲間が魚を加えるところは見かけているので、小魚も間違いなく住んでいます。

成虫の生息具合などから考えると、カゲロウやトビケラ、カワゲラ、トンボの幼虫やホタルの幼虫、カワニナや小魚がうようよいるようにも思えるのですが、遠目にはとてもそんな感じには見えません。

やはり、いつかなんらかの方法で調査してみたいものです!