おすすめ本|基本がわかる野鳥eco図鑑―野鳥がわかると命のつながりが見える
基本がわかる野鳥eco図鑑―野鳥がわかると命のつながりが見える
安西 英明 東洋館出版社 (2008)
最近初めて読んだ本なのですが、野鳥初心者が最初に買う一冊としてとてもおすすめ!
ページごとに写真やイラストと、その種についての解説があるような、いわゆる図鑑らしい図鑑としてのボリュームは控えめです。
といっても、身近な場所で出会える野鳥についての基本的な情報はしっかり押さえてあります。
そもそも、淡々と野鳥を紹介していくような図鑑には、初心者に活かせる情報が少なく、また「探鳥を楽しむ第一歩」の情報も不足している感じがあります。
そこをバッチリ押さえた上で、副題「野鳥がわかると命のつながりが見える」の通り、広く自然への興味を高めていけるような情報もたくさん掲載されています。
観察するときの注意点、双眼鏡や望遠鏡の使い方・選び方、種の見分け方、野鳥の基本的な習性など、私自身が野鳥を学び始めた時に知りたかったと思える内容が盛りだくさん。
給餌の是非についての問題や「ヒナを拾わないで」といった話題にも、一方的な価値観を押し付けるわけではなく、多くの価値観があることを紹介しています。
この本に欠点があるとしたら、値段がやや高いこと。2000円超え。(1900円+税)
十分に値段相応の価値があるとは思いますが、となりにもっと安価なポケット図鑑があれば、初心者はそちらを選んでしまいそう。という意味での欠点。
「野鳥が好き」ということは、動物園で動物を見ることやペットとしての動物が好きということとは全く違う意味を持っています。
野鳥の生態に興味を持ち学んでいくことで、広い生態系のつながりを実感することができるのではないかと思います。
野鳥の特筆すべき点は、
・人間とある程度生活リズムが共通している→普段の散歩の中で多くの種類を観察できる
・生態系の上位に位置している→猛禽類は食物連鎖の頂点。種類によって虫、草、魚、種子等幅広い食性
・目と耳で楽しめる→見た目は美術的な美しさがあり、さえずりには音楽的な楽しさがる
・人の生活と共存しやすい→人間にとって危険な種類は少ない
このあたりだと私は考えています。
クマ、イノシシ、サル、タヌキにキツネではこれがうまく機能しません。
自然環境をきちんと手入れすると、虫もやってきます、花も咲いて、魚も泳ぎます。
するとそれを求めて野鳥も集まってきます。この循環が楽しい。
そういったつながりを学ぶための第一歩として、そして野鳥観察を楽しむ第一歩として、とてもおすすめな一冊の紹介でした。