カワセミ

渓流・清流の宝石と呼ばれることも多い、このカワセミ。
玉川上水でも時々見られます。

さて、間違い探し。

カワセミの雌雄は案外簡単に見分けられます。
上の写真ではくちばしの下半分が橙色。こちらがメス。
下の写真ではくちばし全部が黒くなっています。こちらがオスです。

メスは、口紅を引いているというイメージを連想すると覚えやすいのかも。


高度経済成長期の水質汚染により、都市部ではほとんど見られなくなった時期もあったといいます。
その後、多くの対策によりまた姿を見せるようになったこともあり、「きれいな川にしか住まない」というイメージが持たれていることもあります。
しかし、意外とそうでもないというのが個人的な見解です。

カワセミたちが現代の環境に合わせて適応していったという可能性もありますが、人の目にはあまりきれいだとは思えない水場でも姿を見かけます
重要なのは、エサとなる魚が住んでいるかどうかというポイントなのかもしれません。


玉川上水の水路には、肉眼では見づらいものの、たしかに小魚が生息しています。
のそのそと水路を歩くサギ類(コサギ、アオサギなど)を観察していると、パクッと小魚を捕らえるところを見ることができます。


さて、親戚(カワセミ科)には、山地でしかなかなか見られないヤマセミアカショウビンがいます。
いずれも人気の野鳥。

そのほか、日本には生息していないワライカワセミという鳥もいます。

名前の通り、人の笑い声にそっくりで衝撃的な鳴き声。びっくりします。
大きさは40cm以上あり、本家カワセミの倍以上
サイズは違っても、どう見たってカワセミの仲間であることは分かる姿をしているのがおもしろい!

玉川上水の野鳥


 春にはウグイス、夏にはカッコウの歌声が響く玉川上水の雑木林。ゴールデンウィーク 頃にはキビタキ、オオルリ、サンコウチョウといった夏鳥が立ち寄ることもあります。 長く続く緑道はキツツキたちにとっても住みやすい環境。毎日見られるコゲラのほか、アオゲラ、アカゲラの姿も時々見かけます。小平監視所より下流に見られる舗装されていない土の壁面は、渓流の宝石と呼ばれる美しい野鳥、カワセミが営巣できる環境にもなっています。 多くの野鳥の繁殖も毎年確認されている玉川上水。住宅地に囲まれていながらも、野鳥たちの楽園のような場所です。

 さて、玉川上水には非常に多くの野鳥が生息しています。一時的に立ち寄る種も含めると、50〜60種、もしかしたらそれ以上の種を見つけられるのではないでしょうか。私自身も40種程度は実際に見て確認しています。

玉川上水野鳥カレンダー

その中のいくつか、基本的な種類を紹介します。


ヒヨドリ(鵯)
いつでもどこでも見かけます。
鳴き声をやかましく感じる方もいるかもしれません。
食への執念はなかなかのもの。くちばし周りが花粉だらけになっている姿も見かけます。


ムクドリ(椋鳥)
近頃は都市部で増えすぎて、害鳥扱いされることも。
玉川上水では特に春〜夏によく見かけます。緑道をトコトコと歩いていることも。
のんきなところもありますが、人が一定以上近づけばきっちり逃げます。
鳴き声のバリエーションが豊富で聞いていて楽しい野鳥です。


コゲラ(小啄木鳥)
小平市の市の鳥でもある小型のキツツキ。


アオサギ(蒼鷺)の若鳥
水路をゆったりと歩き、時々小魚を捕まえています。
かなりの大きさでありながら、水路にいても通行人に気が付かれないことも多い、不思議な存在感の野鳥です。


キジバト(雉鳩)
ポッポポッポポーと3拍子リズムの鳴き声でおなじみのハト。



メジロ(目白)
とにかく小さくて、ちょこまかと動きまわる姿が可愛らしいメジロ。
花の色と美しいコントラストをつくる緑色。
一年中いますが、花の多い春が見つけやすいかも。


シジュウカラ(四十雀)の子供
ツーツーピー、ツーツーピー、とよく通る鳴き声が林から聞こえてきます。
この写真はまだ子供なのでくちばしが黄色く、全体的にまるっこい姿をしています。
子供をよく見かけるので、玉川上水で繁殖しているのでしょうね。


ヤマガラ(山雀)
シジュウカラの親戚。エゴノキの実をとって足につかみ、食べている姿をよく見かけます。
鳴き声が和音であることにも驚きます。


カワセミ(翡翠)
渓流の宝石。
出会えたらラッキー!といいつつ、場所・時間によっては意外なほどよく見かけるのがカワセミ。



雪の日のカワセミ(翡翠)
玉川上水ではこんな幻想的な光景が見られることもあります。



シロハラ(白腹)
冬にときどき見かけます。
漢字表記があまりにもストレート...。


ツミ(雀鷹)
ハト程度の大きさですが、立派な猛禽類。
まれにオオタカも見られますが、玉川上水でおなじみのタカといえば、このツミ。

木の実と野鳥

 エゴノキの実はヤマガラの大好物。器用に両足で種子をつかみ、くちばしで突いて中身を食べる姿がよく見られます。

 玉川上水には多くの実をつけるエノキムクノキの成木が多く、アトリ科の野鳥を中心に多くの鳥たちのエサとなっています。他にもナンテン、マサキにネズミモチ、ヤマグワなど野鳥の好む木の実がたくさんあります。季節ごとに、鳥たちに一番人気の木の実を探すことも楽しみのひとつです。

エノキの実を食べるイカル


ケヤキによく集まっていたアトリ

玉川上水の冬鳥

  玉川上水の冬。イカル、シメのようなアトリ科、ジョウビタキ、ツグミ、シロハラ、カシラダカにトラツグミなど、たくさんの冬鳥が飛来し、野鳥観察が最も楽しくなる時期です。

ジョウビタキのオス

 また、コゲラ、エナガ、シジュウカラといったお馴染みの面々も、葉がすっかり落ちた冬の林ではかなり観察しやすくなります。

 水路にはマガモがやってくるほかに、カルガモの数もかなり増え、四十羽以上が同時に見られたこともあります。人が手を出しにくい玉川上水の水路は、カモたちにとって過ごしやすい環境のようです。
 春が近くなると、ツグミやジョウビタキのさえずりの練習(ぐぜり鳴き)が聞けることも。


冬の玉川上水上流部でよく見つかるマガモ

外来種の鳥

 多くはないものの、何種か外来種の鳥を見かけます。玉川上水に定住しているわけではなく、林を散策していると時々見かける、という場合がほとんどです。

ホンセイインコはかなりの存在感
 大きなケヤキをねぐらにすることが多く、玉川上水の林よりは街道沿いの屋敷林を好んでいるようで、毎日見かけるようなことはありません。数羽が上空を通過していくのをよく見かけます。例外は井の頭公園内で、住み心地が良いのか完全に定着しています。


大きな声で囀るガビチョウ
 ウグイスの生息するやや山寄りの林には結構な確率で定着しているガビチョウ。美しい声と言えなくはないのですが、日本の野鳥と比べて少しやかましい声を嫌う人もいます。玉川上水を散策していると時々声が聞こえてくることはあり、また、林内で目撃することもあるのですが、数が増えるような気配は感じません。

ツグミの歌を聴きたくて

ツグミという野鳥が好きです。

日本には冬鳥として遥かシベリアからやってくる渡り鳥
玉川上水でも秋の中頃~春にかけて見られます

林以外にも、畑地や草地でよく見かけます。

(撮影 2015年1月)
ピョンピョンと跳ね回り、静止する時には少し上を向くようなポーズになります。
これが可愛らしい!

また、個体差がはっきりしていることも特徴です。
特にお腹の模様はバリエーション豊か。
(撮影 2013年12月)
肉眼では難しいかもしれませんが(視力と記憶力の問題で)、写真に収めて確認すれば、はっきりと個体認識できます。
今日出会ったツグミは昨日出会ったツグミかもしれないし、一年前に会ったツグミかもしれない。

このツグミのさえずりを聴くためにシベリアへ行きたい!と思うこともあります。
これについて、知人に説明しようとするとき毎回ややこしく感じていたので、表にしてみました。

5月頃 日本からシベリアへ
シベリアで繁殖期を迎える さえずる
10月〜11月頃 日本へ戻ってくる
日本で生活 地鳴きのみ

「日本へ戻ってくる」なんていう書き方をしてしまいましたが、実際は繁殖するシベリアの方が本拠地なのかもしれません。
いや、どちらかがホームであるなんていう考え方が人間中心の価値観でしょうか。

つまり、繁殖期の間は日本にいない=さえずりを日本で聴くことは基本的にできないのです。
近代までは、まったくさえずりをしない鳥だと思われていたのかも。

「基本的に」できないものの、例外があります。
日本にいる間にも、シベリアへ渡る直前、小声でさえずりの練習のようなことをしている場合があるのです。(ぐぜり)

実は、玉川上水で見かけたツグミのぐぜりを一度だけ聴いたことがあります。
聴き慣れない複雑な節回しの声がどこかから聴こえる…と思って周囲を見渡すと、ツグミの姿が。
つぶやくような小声で、若干かすれてもいましたが、美しい節回しだったことが印象に残っています

もしかしたら、気候や運次第では、日本で完全なさえずりが聴けることもあるのかもしれませんね。
ばっちり聴けたらそれはとても幸運なこと!


ワカケホンセイインコ襲来!

今年の3月の話です。

玉川上水の桜が少しずつ開花し始めた頃。


(撮影 2015年3月)

早朝に突然やってきた緑色の飛行物体!
数匹のグループで飛んできて、桜の枝に着地。
そして…


花ごとむしり取る!

 

ほんの2、3分のできごとだったと思います。
咲きはじめた桜の花をすごいスピードでむしり取っては食べ、むしり取っては食べ、あっという間に去って行きました。


ワカケホンセイインコが東京にすみついたのは1960年代末頃だそうです。
世田谷区内のペットショップより、輸入された百数十話の若鳥が逃げ出したのがおそらくはじまりなんだとか。
当然ながら、元来日本に生息していた鳥ではありません

現在では、異常な数の群れが都内でもあちこちで見られます。
とりあえず、西寄りの玉川上水緑道は群れのねぐらになっている気配はありませんが、まれにやってくることがあるようです。

やはり外来種ということで、生態系への影響が心配されています
が、彼(女)らに罪があるわけではありません。
外来種でありながら、生態系への影響も小さく、多くの人に愛されているコジュケイと比べると、ちょっとかわいそうな存在ではあります