ムラサキの花は武蔵野から忘れられてしまった?
(撮影 2015年5月 東京都薬用植物園)
ムラサキ(紫草)の花
ムラサキの花を知っていますか?
和歌に多く登場することもあり、大好きな花のひとつです。
紫の ひともと故に 武蔵野のこの歌が本当に好きなこともあって、ムラサキは武蔵野の象徴というイメージが私の中にあります。
草はみながら あはれとぞ見る ー古今和歌集
現在ではめったに自生しているものを見ることはできなくなってしまいました。
なぜだか、ある程度植物に詳しい方に聞いても、このムラサキのことをよく知らないことが多いのです。
それほどマイナーな植物なんでしょうか。
そもそも、ある意味では誰もがこの「ムラサキ」を知っているはずです。
紫色とは、そのままこのムラサキという植物の色ということ。
サクラの花の色を桜色というようなものです。
花は上品な白色。
しかし、根を染色に用いることで鮮やかな紫色が生まれます。
ムラサキは栽培が難しく、紫色は貴重なものでした。
冠位十二階でいちばん偉いのは紫色!なんて、歴史が苦手な方でもなんとなく覚えているのではないでしょうか。
また、平安以前の文学には、たくさんの「紫」が登場します。
「紫」式部。
源氏物語に登場する「紫」の上。
清少納言の枕草子。
春はあけぼの やうやう白くなりゆく山際少し明かりて
「紫」だちたる雲の細くたなびきたる
万葉集の特に有名な二首に紫が登場しています。
あかねさす 「紫」野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る ー額田王
「紫草」の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我恋ひめやも ー大海人皇子
江戸時代に流行した「江戸紫」の色も、武蔵野で栽培していたムラサキを利用したもののはず。
ある時期までは、武蔵野でたくさんのムラサキが見られたのではないかと思うのですが...
調べてみると、三鷹にて「みたか紫草復活プロジェクト」というものがあるようです。
問い合わせしてみようかな!