おすすめ本|矢口高雄『トキ』

小さいころ、いちばん夢中になって読んだ漫画は、矢口高雄先生の『釣りキチ三平』だったかもしれません。
活き活きとした自然の描写が何よりの魅力!

大人になってから『釣りキチ三平』以外の作品にも興味を持ち、読むようになりました。
この『トキ』もその一つです。
トキ (fukkan.com)
矢口高雄『トキ』 (fukkan.com)

この漫画、私は文庫版を中古で入手することができたのですが、絶版になっていました。
2011年に復刊ドットコムの投票により、復刊されたようです。


内容は、トキとその周辺の自然を巡る人間ドラマです。
登場人物が農家であることも、作品に深みを与えています。
特に農民とは関係の深い鳥だった。
おらだつが田畑を耕している間は彼らの生活が確保されていたからだ。
その美しい淡紅の羽色から朱鷺色という名も生まれた……

「鳥追い歌」の中にも
おらがいっちの にっくき鳥は
ドウとサギ コスズメ
という形でトキ(ドウ=トキの方言)が登場します。

田畑を踏み荒らす害鳥としてのトキ

佐渡で保護が進められたものの、2003年に日本産のトキが絶滅してしまったことはニュースになりましたね。
中国産トキの人工繁殖が成功し個体数は増えていっているようですが、害鳥でもあった生物を増やしていくことはどのような意味をもつのか。
疑問を持っている方も少なからずいるようです。

個人的な見解としては、遠い未来にどんな結果になろうとも、きちんと記録をつけて、たくさんの人がトキについて考えを巡らせたのなら、そこには大きな価値があると思っているのですが、どうでしょう。