「静7132」とクマリンそしてアレロパシー



私は日本茶検定1級・日本茶アドバイザーの資格を持っている程度にはお茶好きなんですが、もっとも好きなお茶の品種は「静7132」というものです。

「静7132」は系統番号であり、「やぶきた」「つゆひかり」のような品種名は登録されていません。(静岡の一部では「まちこ」と呼んでいたりします。)

その特徴はなんといっても桜の葉のような香り
萎凋が行われていて、さらに高温で淹れる紅茶や烏龍茶の香りがとても素晴らしいのに対して、低温で淹れる日本の煎茶は香りの面ではなかなか敵いません
しかし、この「静7132」から香る不思議な香りは、むしろ低めの温度でふんわりと漂ってきます。

その香り成分は「クマリン」。桜の葉に含まれる芳香成分です。

ところでこの「クマリン」、植物の生態学について勉強していく中で突然登場しました。
桜の葉に含まれる「クマリン」には他の植物の成長を阻害する作用があるとのことです。これをアレロパシー(他感作用)と呼びます。

外来種の多くも、そのアレロパシーが問題になる場合があるとのこと。
まだはっきりと解明されていない部分も多いみたいですが。

「桜の木の周辺には他の植物が育ちにくい」というのをあまり実感したことがないのですが、本当に効果があるのならば、江戸時代の玉川上水水路脇に桜を植樹した(小金井周辺など)のはとても合理的だったことになりますね。